国家統合相は持ち堪えうる?=議会での釈明後に高笑い=訴追の理由なしと与党議員=野党側は検察の捜査に期待
ニッケイ新聞 2012年1月14日付け
【既報関連】国家統合省が統括する防災対策費がペルナンブコ州に集中的に支出されていたとの3日付エスタード紙報道以来、不正疑惑の渦中にあったフェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ国家統合相が12日、連邦議会で釈明し、自身への攻撃はブラジル社会党(PSB)への攻撃にほかならないと反駁したと13日付伯字紙が報じた。
休会中の議会での統合相の釈明は、サルネイ上院議長が10日に召集した特別委員会でのもの。ジウマ大統領から統合相擁護の指示を受けた与党は統合相を訴追する理由はないとの姿勢を貫き、野党側は同相追及の術を失ったようだ。
統合相を巡る疑惑は、同相の出身州で、政界での親にあたるPSB党首のエドゥアルド・カンポス氏が知事を務めるペ州への集中的な予算支出だけに止まらない。
同相の兄弟が統合省と関係の深い公社総裁を務め、叔父が統合省の委員会メンバー、息子のフェルナンド・コエーリョ・フィーリョ下議が提出した事業計画へ優先的に公金を支出、嫁の父親や叔父もペ州の要職に就いている、同相が市長を務めた事があり、息子か兄弟が市長選出馬の可能性があるペトロリーナ市に政府の灌漑(かんがい)計画に基づく資材を優先的に配布などの疑惑は、エスタード、フォーリャ両紙が連日報じている。
ペ州への防災対策費集中支出については、支出を約束した事業も含めた場合、ペ州への防災対策費は9800万レアルで全体の45%にすぎず、防災局が約束した資金で見れば、最多はリオの20%、ペ州の受け取り分は、17%のサンタカタリーナより少ない16%などの数字を列挙し、身びいきなぞしていないと主張した。
また、兄弟がサンフランシスコ・パラナイバ渓谷開発公社総裁職に就いたのは、正式な総裁指名までは最も旧い理事が代行するとの定款に基づくもので、縁故採用ではないと弁明。ただ、新総裁指名が1年近く遅れた事や、11年1月にクレメンチノ・コエーリョ氏総裁就任との官報記事、クレメンチノ氏が総裁として署名していた事についての説明はなかった。
フィーリョ下議提出の事業計画への資金が全額払い出された事についても分け隔てなどしてないというが、フィーリョ氏より高額の計画が承認された複数の議員への支出額はより少額だった。
疑惑の只中にある統合相に対し、PSBとの連立維持や14年の大統領選などを優先したい大統領は、閣僚なども動員した擁護策を展開。統合相もレシフェ市長選には出馬せず現職に止まる意向を明らかにしたが、検察は、ペトロリーナ市長時代の不正入札など四つの疑惑を捜査中だ。
委員会での釈明後に高笑いした投合相がどこまで持ち堪えるか、議会の行政府監視機能はどうなったのかが気になる展開となっている。