ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ブラジランディア=建築中のビルが崩壊=屋根が崩れ1人が死亡=建築ブームに潜む影

ブラジランディア=建築中のビルが崩壊=屋根が崩れ1人が死亡=建築ブームに潜む影

ニッケイ新聞 2012年1月14日付け

 サンパウロ市北部で建築中の建物が崩壊し、コンクリート製の梁(はり)の落下で作業員1人が死亡する事故が起きた。13日付伯字紙が報じている。
 12日午後3時30分頃、サンパウロ市北部ブラジランディアで、コンクリート注入作業中のブラジランディア総合文化センターの屋根が崩壊した。建物全体を斜めに覆う屋根の面積は約300平米で、崩壊したのは10階建てビルに相当する高さ27メートルの部分。屋根の上で作業していた作業員12人が最上階の床まで5メートルほど落下し、死傷者が出た。
 瓦礫の下敷きになって死亡したのはニヴァウド・ロドリゲス・ダ・シウヴァさん(33)で、6人が重傷を負い病院に搬送された。うち3人は頭蓋骨を骨折した。あと5人は軽傷で、病院には行かなかったという。事故当日は、60人が作業を行っていた。
 このブラジランディア総合文化センターは、州政府が1330万レアルの総工費をかけて建設していたもので、2009年から始まった工事は、4月頃に完成する見込みだった。工事を請合ったのは建設会社のコンストゥルトーラ・ウビラタン社だ。
 この事故を受け、サンパウロ州文化局は、同文化センターとともに、ウビラタン社がサンパウロ市東部に建設中だったチラデンテス文化センターの工事中止の通達も出した。
 サンパウロ市内の文化センターは、イタイン・パウリスタ文化センターなど三つがすでに開館。市内で建設中の文化センターはウビラタン社が請け負っている二つのほかに、六つあり、うち四つが2012年中に開館の予定となっている。
 文化センター設立の責任者でもあるアンドレア・マタラゾサンパウロ州文化局長は、事故原因の調査を命じる一方、ウビラタン社は罰金刑や業務停止などのなんらかの処分を受けることになるであろうという見解を示した。
 同局長は「梁に問題があったわけではない」とし、建築プランそのものに問題があって起きた事故ではなく、同社の工事の進め方に問題があったとした。マタラゾ氏はブラジル社会民主党(PSDB)からサンパウロ市市長選に立候補すると見られている。また、救助にあたった消防や防災局の係官たちは、事故の際に降っていた雨が梁崩壊の原因ではないと見ている。市警は業務上過失致死としてこの事故を登録した。
 ここ数年、好景気に支えられた建築ブームが続いているが、一方でこうした建設中の事故が相次いでおり、課題を露呈している。