ニッケイ新聞 2012年1月17日付け
「多額の設備投資をしたのに見返りは未だにない。そもそもワイン作りはヨーロッパ人のもの。日系が参入して成功するとは思えない」—。昨年末にサンジョアキンを訪れたさい、組合草創期から同地でリンゴ栽培に携わる一世からは、こんな声が聞こえた。
約10年前から始まった同地のワイン作りは組合員の二世が中心になっており、日本生まれだがブラジル育ちの清水信良理事長もメンバーの一人。よくある話だが、SANJOでも一世と二世の間で意見の相違があるようだ。
リンゴの里である同地が新たな試みを始めたのは、今後リンゴだけで生き残っていくのが難しいという懸念があったからだろう。
新しいことを始めようするときに守りの姿勢に入ってしまうのは仕方がないが、それが功を奏さない場合もあるかもしれない。リンゴ栽培も、困難を乗り越え一世が成功させた事業だ。新たな取り組みの成功を祈りたい。(詩)