ニッケイ新聞 2012年1月18日付け
公式発表のインフレ率が実態とはかけ離れていると国際通貨基金(IMF)も疑問視しているアルゼンチンで、インフレの実態暴露は罪との政府見解が発表された。
17日付G1サイトによれば、経済状態の悪化で庶民の購買力が落ちているため、買い物袋を提げて街中を歩く人の数も減っているという。
政府が1リットル当たり2・5ペソという牛乳は、スーパーへ行っても4ペソ以下では買えず、1キロ3・7ペソというパンも最低12ペソ出さないと買えないというのが実際のようだが、このような実態を暴くことは罪だというのだ。
キルチネル政権にとって、国民の期待を裏切るような報道はもってのほかだが、実態を知らない国民が最も被害を被っているというのは、経済学者でもある、クラウジオ・ロザノ下議。
専門家の中には、インフレの実態隠しは、同国の貧困者の数や経済成長率の粉飾にも繋がると懸念する声があり、IMFもインフレその他の実態を知りたがっている。
政府支出がかさみ、ガスや水道、電気といった公共料金への補助も削られたという同国で、公式発表の数字の何倍というインフレがまかり通っていることは周知の事実。
手術後のクリスチーナ大統領は復職間近だが、為政者のうそでしわ寄せが行くのは常に弱者だ。