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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年1月18日付け

 在東京ブラジル総領事館で語学留学ビザの取得条件が厳しくなり、交流目的でその査証を取得していた者に悪影響が出そうだとの報道があった。日伯間の将来を考えたとき、若者が気軽に取得できる1〜2年のビザがあることはとても重要だ▼交流目的で使えるビザがないから、しかたなく語学留学のそれを使う若者が多く出るのが現状だ。交流を試みようとする方向性自体はとても良いだけに、それを尻すぼみにするのはもったいない。ぜひ政治家や外務省関係者には日伯間のワーキング・ホリデー査証を実現してほしい▼このビザの特徴は、相手国で決まった期間働くことができ、生活しながら総合的な海外体験ができることだ。国際的な視野と経験を持った青年を育成することは、閉塞感が強い今の日本社会に風穴を空ける意味でも意義深い。日本語がある程度通じる日系社会は手が届きやすい存在であり、そこを通してブラジル社会に接してもらうことで深い互恵関係を築けるだろう。アジアや欧米に偏りがちな若者の海外長期滞在先に、南米という新しい選択肢を加えることになる▼すでに日本はカナダ、韓国、仏、独、英など11カ国とこの協定を結んでいる。中でもオーストラリアには毎年1万人以上の若者がこのビザを使って渡航している。ブラジルにもそれぐらいの若者が来ることになれば、どれだけ将来の友好に役立つか分からない▼サッカーW杯、リオ五輪など日本の若い人のブラジルへの関心が高まるこの機会を逃がす手はない。日系団体や日系企業は素晴らしい交流の受け皿になれるはずだ。日系代表団体が音頭をとって両国政府に要請したらどうだろうか。(深)