ニッケイ新聞 2012年1月19日付け
7月より、他人が自分の車を運転中に違反を犯し、自動車免許証の違反点数を実際の運転者に移す時は、登記所で署名証明(Reconhecimento de Firma)をとるか交通局係官の前で署名を行うことが義務付けられることになった。17日付エスタード紙が報じている。
交通違反をおかした場合、現場では運転者が確認されず、後日、車の所有者に罰則の通知と記入フォーマットが送られてくることが多い。問題は所有者と違反を犯した人が違う時で、車の所有者は実際の運転者と共に署名をし、違反を犯した人の運転免許証のコピーを添付の上で郵送、または州交通局(Detran—SP)か市の道路運営課(DSV)へ持参することとなっていた。
だが、その免許証のコピーには、盗用されたものや偽造のものが見受けられるケースがある。関係者によると、実際に運転した人物にかわって違反点数を引き受け、見返りに金銭を受け取っている運転者も非常に多いという。サンパウロ州市警ではこうした交通違反者の身元偽造に関する取調べを1日平均3件行っている。
登記所で署名証明をとるか交通局の係官の前で署名することを義務づける処置は、不正な方法で違反点数が書き換えられるのを防ぐのためで、登記所で本人の署名であることを証明してもらうための費用は10レアル。車の所有者と違反を起こした運転者がDetoranかDSVに行き、係官立会いのもとで署名を行ってもよい。この処置は当初、昨年10月から実施の予定だったが、コンピューターのシステムを整えるための時間が必要ということで、7月に先延べされた。
交通技術公社(CET)によると、サンパウロ州では2011年1月〜11月に866万9365件の交通違反があり、18%にあたる155万9161件で違反点数の移行の申し出が行われた。その83・4%は郵送で違反点数の移行を申請してきたという。
ブラジルは交通違反の取り締まりを強化しており、それは大臣に対しても同様。18日付エスタード紙は、マリア・ド・ロザリオ人権相が1年以上前からの免許取り消し返上のため、連邦直轄区の自動車教習所で講習を受けている光景を紹介。人権相は、駐車違反が一番多いが、大半は選挙期間中に自分の車を使った人が犯した違反だという。9日にはパウロ・ベルナルド通信相が講習を受けている様子も報じられ、「大臣も講習を受けるということはこの国の交通規制が機能している証拠だな」という同席者の言葉も掲載されていた。