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サンパウロ市=約30年ぶりに狂犬病=ワクチンで早めに対策を
ニッケイ新聞 2012年1月19日付け
サンパウロ市で約30年振りとなる狂犬病の発症が確認された。17日付G1サイトが報じている。
狂犬病の感染が確認されたのは昨年10月に死亡した猫で、飼い主がサンパウロ総合大学(USP)で検死を頼み、判明した。発症地は、中流家庭の住宅地として知られるモエマ地区だった。
検死を行ったパウロ・エドゥアルド・ブランドン氏は「同地区の木の実を食べに来るこうもりが狂犬病にかかり、体が麻痺して飛べなくなって地面に落ちていたところを襲おうとした猫が噛みつかれてウイルスが感染した」と推測している。
狂犬病の犬や猫は、攻撃的になる、唾液分泌が増える、嚥下(えんげ)困難を起こし動けなくなるなどの症状をみせ、吠え方も変わる。また、犬や猫が噛みついたり引っかいたりすると人にも感染し、かゆみや頭痛、麻痺や昏睡状態が起きる。
サンパウロ市で狂犬病にかかった動物が発見されたのは1983年以来で、人への感染は1981年以降起きていない。保健省によると、ブラジルでは北東部や北部、中西部の一部で年平均70件の狂犬病が発生。人間への感染は2011年はマラニョン州で2件あったという。
サンパウロ市では2010年の予防接種で死んだ小型犬や猫が出たことから、11年のワクチン接種を中止していた。保健省は今月はじめ、サンパウロ州に200万匹分のワクチンを送ったと発表。動物への予防接種は生後3カ月から行い1年間有効だ。個人病院での接種費用は25〜45レアル。また、犬や猫に噛まれたら、傷口を流水と石鹸で5〜10分洗浄、出血がひどい時は幹部をきれいな布で縛って救急病院に行き、ワクチンを接種することが薦められている。