ニッケイ新聞 2012年2月1日付け
2011年のサンパウロ州内における殺人事件の数は減少したが、海岸部では増加傾向を見せており注意が必要と1月31日付伯字紙などが報じている。
サンパウロ州保安局(SSP)が26日に発表したところによると、2011年のサンパウロ州における殺人件数は4189件で、前年から132件減少。10万人当たりの殺人件数も10・05件で、10万人当たり35件超だった1999年から大幅に減少し、アルキミン知事が目標としていた10件に近づいている。
だが、それが海岸部となると話が違う。11年にサンパウロ州15の海岸都市で起きた殺人事件は277件で、10万人当たりの殺人件数は14・61件となる。海岸部最大の都市であるサントスでは殺人が36件から26件に減ったが、カラグアタトゥバは33件から43件、ウバトゥバは18件から21件、イタニャエンは12件から21件に増加しており、同3市は州内での10万人当たりの殺人件数ワースト10で1位、4位、6位に入る結果となった。
サンパウロ州市警のマルコス・カルネイロ警部は、海岸部での暴力は、不法居住区の拡大と関係があるとし「海岸部は貧しい人で溢れている。州は保健衛生や教育などにも投資しないといけないが、貧困の問題に目を向けなければ問題は悪くなる一方だ」と嘆いている。
軍警のアルヴァロ・バチスタ・カミロ司令官によると、海岸部には2011年に600人の警察官を補強したが、2012年の暴力事件のデータをもとに同地区の強化をさらに徹底するという。「住人が最も必要とするところの取締りを強化するのはすべての地域に共通する原則で、そのためにさまざまな情報機関と協力して働いている」と同氏は語っている。
また、海岸部は下水処理に関しても問題を抱えている。北部海岸の家屋の30%はサンパウロ州水道局(Sabesp)の下水処理システムにつながっておらず、イーリャベーラに至っては約半数が垂れ流しだ。サントス海岸部で2万2682世帯、北部海岸は8743世帯、あわせて3万1425世帯の生活廃水や排泄物が海に流れ込んでいるという。
イーリャベーラ水道局のジョゼ・デ・オリヴェイラ・パウロ氏によると、各家庭の配管を下水処理システムにつなぐ費用は100〜4000レアルで住民負担。つないだ後はシステム使用料を払う必要があり、垂れ流しの家は罰金も科せられるというが、垂れ流しの家にはそれなりの水準のものが多いという。