ニッケイ新聞 2012年2月1日付け
パラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ、傘下74支部)は29日、同州ロンドリーナ市の本部会館で定期総会を開き、役員改選で、文化部長、歌謡部長などを務めた副会長の折笠リカルド力己知氏(64、福島)を単一シャッパにより満場一致で新会長に選任した。「今後は200周年に向け新しいアイデアを出していきたい」と展望を語った。昨年9月に連合会創設者の上野アントニオ元下議が逝去、通算12年間会長を務めた嶋田巧氏も退任。同連合会は新たな時代のスタートを切った形だ。一方、会計報告では傘下団体の会費未払いなどで収入が減り、昨年度は赤字だったことが報告された。
午前9時過ぎから始まった総会には傘下団体の代表者や関係者など113人が出席。上野アントニオ氏への黙祷に続き、嶋田氏は「これからも連合会が永遠に存続するよう協力したい」と話し、評議員会長の西森ルイス連邦下議、来賓の在クリチーバ総領事館の山口登総領事も続いて挨拶した。
相撲、太鼓、歌謡、文化、ゲートボール、卓球など各部の事業報告の後、会計報告で昨年度は11万7404レアルの赤字だったことが報告された。林セルソ・会計担当は「数年前から多くの傘下団体が会費を未納入で、昨年は特に落ち込んだ。これでは今後の活動が困難」と訴えた。
また東日本大震災の義捐金は昨年5月、10月に2度に分けて日本赤十字社に送金され、総額は37万4519・99レだったことが報告された。
長年連合会の歌謡部長を務め、カラオケ界で活躍する折笠新会長はニッケイ新聞の取材に対し、「借金はないが、経費が増え会費だけでは賄えない」との現状をのべた。同連合会は年間90ほどイベントを開催し、収入を補填している。
昨年度会計は赤字に転落したことから、折笠氏は「企業から寄付を募るため新たなプロジェクトを考えたい」と話す。具体的には、現在2万家族ほどいる会員に活動内容を報告する会報を送り、そこに企業の広告を掲載することで宣伝費を見込むことを考えているという。
またその他の課題として、人数の減少に悩む各部の活動の活発化、四、五世世代の取り込みなどを挙げた。さっそく傘下文協を訪問し役員と会合を持つと言い、「少人数の文協は若い人材不足で困っている。ブラジル人をも巻き込み、連合会から日本の精神や文化を伝えていきたい」と目標を掲げた。
評議員会長には、昨年10月から3カ月間、体調不良だった嶋田氏の代理で会長を務めた池田甚太郎・第一副会長(73、二世)が就任し、西森ルイス氏は顧問に就任した。
総会で、連合会と傘下団体が売上金を折半するリッファを販売するプロジェクトについて発表した池田氏は「資金不足が課題だが、支部のためになる組織としてリーガ・アリアンサを大事に育てたい」と話した。
昼食後には今年度の行事予定の調整と確認が行われた。2012・13年度の会長、副会長は次の通り。(敬称略)
【会長】折笠リカルド力己知(ロンドリーナ)【副会長】広岡カルロス栄吉(ロンドリーナ)、嶋田ジョアキン季雄(同)、武田ロベルト(同)、北原エレナ(同)、落合国雄(バンデイランテス)、黒本ルイス(ロンドリーナ)、久保田ジョルジ(マリンガー)、吉田パウロ(アサイー)、大枝セルジオ(アラポンガス)、森沢テレーザ(ロンドリーナ)、木村ルイザ峰子(アサイー)、牧野カルロス(パラナバイー)、中村ジョアン(クリチーバ)、石田健一(アプカラナ)、横田エメルソン幸夫(ウムアラマ)、寺部パウロ(ウライー)、三土ルイス久(アラポンガス)、利光ジョルジ(ローランジャ)、篠原幸一(シアノルテ)、前田マルエ(コルネリオ・プロコピオ)、スミ・シュウイチ(カンバラ)、阿部長尾(ロンドリーナ)。