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ジウマ大統領=人権問題言及は避ける=グアンタナモは暗に批判=野党からは批判の声も

ニッケイ新聞 2012年2月2日付け

 キューバを来訪中のジウマ大統領は改めて、キューバにおける人権問題には言及しない意向を明らかにした。1日付伯字紙が報じている。
 ジウマ大統領は1月31日、同国での初の公式行事として「キューバ独立の父」であるホセ・マルティの記念碑への献花を行った後、15分ほどの記者会見を行った。
 記者団からキューバの人権問題について訊かれた大統領は、「一国の政治上の主義や思想を叩くために、人権をめぐる政策を批判することは出来ない。他の国のことを批判する前に、自分たちの国がよそを批判できるほどのものであるのかを考えないといけない。ブラジルにもブラジルで問題がある」と語り、キューバの人権問題への直接の言及を避けた。
 また同時に「あらゆる国における人権問題について考えるのであれば語ることは賛成だ。ブラジルの人権問題や、米国のグアンタナモ基地の問題などについて語りましょう」と、米国がキューバの米軍基地にイラクの政治犯を拘束していることを暗に批判した。
 ジウマ大統領は2010年の大統領選のキャンペーンで、人権問題に関してルーラ前大統領と異なる見解を持っていると語り、11年1月にもキューバの人権問題を巡る政策上の誤りを問いただすと公約を立てていたが、ルーラ前大統領が2008年と10年に同国を訪問した際と同じように、特定の国を批判しないとの外交方針に従うこととなった。
 このジウマ大統領の姿勢に野党側からは強い反発が起こった。社会民主党(PSDB)のセルジオ・ゲーラ党首は「これではカストロ政権のやり方を容認するようなものだ」と語り、民主党(DEM)のデモステネス・トーレ下院議員は「左翼であれば殺人が認められるのか」と批判した。
 また、同記者会見でジウマ大統領は、キューバのジャーナリスト、ヨアニ・サンチェスさんのブラジル来訪許可について「ブラジルからのビザは出してある。あとのことはキューバ次第だ」と語った。
 記者会見のあと、大統領はラウル・カストロ国家評議会議長と会食をとり、ブラジルが支援しているマリエル港の改修工事現場も視察。現場の責任者とは、キューバの医学を利用したブラジルの製薬工場建設について論を交わした。また、フィデウ・カストロ前国家評議会議長との対面も行った。
 今回のジウマ大統領のキューバ訪問は貿易に関する会合も目的。ブラジルはキューバにとって世界第4位の貿易相手国だ。
 ジウマ大統領は1日午後、キューバを発ってハイチを初訪問。移民問題などについて話し合った後、同日中に帰国する。