ニッケイ新聞 2012年2月4日付け
再開直後の最高裁で2日、国家法務審議会(CNJ)は、各州の監査委員会審議を待たずに裁判官や裁判所職員に関する疑惑捜査を行う事ができるとの判断を下したと3日付伯字紙が報じた。これにより、マルコ・アウレリオ最高裁判事が12月19日に出した暫定令が覆った事になる。
CNJは司法界にとって問題ではなく解決—。2日間、10時間以上の審議を経、6対5という僅差でその自治権が認められたCNJについてアイリス・ブリット判事が語った言葉は、国民の司法不信を除く鍵だ。
9月28日付フォーリャ紙が「法衣を着た悪人がいる」というエリアナ・カルモン国家監察官の言葉を報じて以来、CNJの権限について否定的な見解を表明してきたのは、CNJの委員長でもあるセザル・ペルゾ最高裁長官だ。
カルモン氏の発言後、直ちにCNJの会合を召集したペルゾ長官が「判事達の能力や素質、適応性を疑い、司法制度そのものを侮辱している」との文書を発行した事は周知の事実で、1日の最高裁でも「CNJは(各州の)監査官の権限をつぶしに来たのか」と表現。
2005年創設のCNJの目的は、司法権を行使する裁判所を外から監視し、独走や暴走を抑制する事で、最高裁長官や高等裁判事といった裁判官の他、検察庁や全国弁護士会のメンバーなど15人で構成される。
CNJの監査官は高等裁判事でもあるカルモン氏。CNJは地方裁判所の監査権を無視しており、捜査のための情報入手に不正な手段も利用との批判にも、公的機関の情報だけで不正摘発は可能と反論している。
12月の暫定令で権限が制限された後、「卵の殻が透明になり蛇が生まれ出ようとしているのが見えているのに、蛇の存在を認めようとしない」と訴えていた同監査官には、全国の弁護士会、元最高裁判事だったネルソン・ジョビン元国防相らも声援を送っていた。
また、CNJが不正な方法で個人情報を入手していたという裁判官3団体からの告発を、検察庁が1月31日に事実無根として捜査対象から外す判断をした事も、CNJの捜査権復活の追い風となったはずだ。
2日の最高裁では、CNJの捜査は、州レベルの捜査の結果を待たず、また、特に正当化する必要もなく開始できるとした他、不正を働いた裁判官の裁判は公開する事なども決められた。
CNJが情報源とした財務省の金融活動管理審議会(Coaf)によると、裁判官や裁判所職員が不正に動かしたと見られる金は10年で8億5500万レアル。Coafがリオの労働地裁職員が1年で2億8290万レアルを不正に動かしていた事を突き止め、CNJの要請で連警が容疑者を特定といった報道を見れば、司法界に透明性を求める国民の声はますます高まりそうだ。