ニッケイ新聞 2012年2月7日付け
これまで大きな格差があるとされて来たサンパウロ市と他州の都市との平均給与の差が縮まってきた。6日付エスタード紙が報じている。
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2003年から11年のブラジル全体の平均給与は22・2%伸びたが、同じ時期のサンパウロ市は13・8%で全国平均を約9%ポイント下回った。これはリオデジャネイロ(33・8%)、ベロ・オリゾンテ(32・1%)、サルバドール(30・9%)、ポルト・アレグレ(25・5%)、レシフェ(21・1%)などと比べても小さな伸びに留まっている。
この結果について経済学者のレジーナ・マダロッソ氏は、この間の最低賃金が240レアルから540レアルに引き上げられたことと、ボルサ・ファミリアなどの所得還元政策により、地方間の格差が縮まったことが原因と見ている。これらの恩恵は、サルバドールやレシフェなどでより大きいという。
また、急速な伸びが目立つのはリオで、1719・35レアルの平均給与は、1730・22レアルのサンパウロ市と10・87レアル(0・6%)しか変わらず、2003年に234・99レアルあった差が一気に縮まった。90年代には経済成長の鈍化が問題となっていたリオがこの10年で急速に経済発展を遂げた背景には、石油・天然ガス産業がリオを中心に発展したことと、2014年のサッカーW杯、16年のリオ五輪と大きなイベントが続くことによる街の活性化があるとされる。「リオの労働需要が飛躍的に伸びたことが給与の伸びの速さにもつながった」と見る同氏は、「地方のインフラが充実しているのであれば、わざわざサンパウロ市まで仕事を探しにいかなくてもよく、現在の現象は歓迎すべきことだ」とも述べている。