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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年2月7日付け

 早坂茂三氏という人がいた。もう故人だけれども、田中角栄元総理の秘書として23年間も仕え政界の「裏」に通じる貴重な方であり、田中に関する著書も多い。秘書になると、田中は「お辞儀をしてみろ」と命じ、早坂は、なんでだろうと思いながら軽く頭を下げた。すると「それは記者のやり方だ」と政治家はこうするんだと、足の膝を90度近くも曲げ最敬礼して見せたそうだ▼この記者出身の才能豊かな秘書が、なぜか娘の真紀子さんに好まれなかったらしく辞職したのだが、今、話題の防衛大臣・田中直紀参議は、真紀子衆議のご主人であり、防衛や安全保障にはあまり詳しくはなさそうながら政治キャリアは長い。その自衛隊の親方が沖縄防衛局長の真部朗氏の「講話問題」で自民や公明と共産党などの野党に突き上げられ真っ青になっているらしい▼普天間移転の難問があるときだし、眞に不味い局長の言動だし、閣僚として初陣の田中防衛相にとっても何とも不幸なことが出来したものだ。防衛論に強い自民の石破茂元防衛相が質問に立ち鋭く迫り、辟易気味の田中防衛相の秘書らがメモで教えたりしているが、そこへ社民党の照屋寛徳氏から「おい、教えるな」の一喝が入ったの報道もあるそうな▼と、国会の野党攻勢は強まるばかりだし、野田政権が対応を誤ると、「防衛相辞任」も決して夢物語ではない。そんなこんなで防衛大臣の局長更迭も先送りになっているが、こんな騒動になったのだからまさか「無罪」ともいくまいし、ここは田中防衛相の「腹一つ」であり、さらに自衛隊への綱紀粛正と士気を大いに鼓舞してもらいたい。(遯)