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聖南西教師合同研修会=充実の3日間を喜ぶ声も=広いテーマで関心も高く

ニッケイ新聞 2012年2月8日付け

 聖南西教育研究会主催の「教師合同研修会」が1月23〜25日、コロニア・ピニャール青年図書館宿舎で行われた。
 日本語教育に関する情報の収集、教育技術の向上を図るとともに、地域の教師の親睦を深めることが目的。聖南西地区の教師21人、サントスやパラナ州のJICA青年ボランティアら30人が参加した。
 初日は開講式の後、国際交流基金の専門家・池津丈司氏による講義があり、午後は参加した全教師がそれぞれ、授業や副教材、幼児教育、工作やゲームなど様々な学校活動のアイデアを紹介した。
 続いてJICA青年ボランティア3人が講義を行った。まずコロニア・ピニャール日本語モデル校の谷口あいこ教諭が、魅力が感じられない作文を生き生きとしたものにするため、実際に取り組んで効果を上げた活動を紹介。
 イビウーナ日本語学校の仲田えりか氏は「歌で学ぶ日本語」をテーマに童謡や手遊び歌、民謡を使った活動を紹介し、「歌は日本語の勉強になるだけでなく、世代をつなぐことができる」とその効用を語った。
 ウセンス日本文化センター(ソロカーバ市)の久保咲子氏の講義「レクリエーション」で参加者は体を使ったレクリエーションを体感し、「日本語教師はゲームやレクリエーションにも教育効果を求めてしまいがちだが、学習者にとって楽しい活動を行うことが学校の楽しさを増し、そのポジティブな気持ちが結果として学習意欲にもつながるのではないか」と新たな視点を得た教師もいた。
 2日目午前はグループ別のワークショップ、午後は「副教材紹介」があり、長年鈴鹿市で外国籍児童に対する教育に取り組んでいた川床みどり氏(ウセンス日本文化センター)が、その現場で使用されていた数々の教材を紹介した。
 続いてパラナ州コルネリオ・プロコリオ日本語学校のJICA青年ボランティア・中島里見氏が初級の文型指導の流れについて講義した後、分科懇談会が行われた。「文法の指導」「日本帰りの学習者」「怒り方・ほめ方」「複式授業」の4つのグループに分かれて問題点や困っている点を洗い出し、それらに対する対処法が話し合われた。
 3日目は青野静香(ウセンス日本文化センター)、尾崎リリアン(イビウーナ日本語学校)両教諭による実践発表があり、聖南西地区派遣のJICAシニアボランティア徳増紀子氏が「会話を促す活動」をテーマに講義を行った。
 参加者からは「講義のテーマが広い」「他の学校の先生方と交流を持てた」「教師の地位向上にとっても大切」などの感想があり、充実した研修会だったことが伺えた。
 地区外から参加したJICA青年ボランティア松田一希氏(ピンドラーマ日本語学校)は「運営者、参加者の熱意が感じられるとてもよい研修会だった」と述べ、2年連続参加した石田瑞穂教諭(アチバイア日本語学校)は、「今年もとても楽しくて勉強になった。来年は同僚や地区の他の先生にも声をかけて参加したい」と元気な声で語った。