ニッケイ新聞 2012年2月9日付け
長引くバイーア州の軍警ストの影響で、他の6州の軍警がストを行う可能性が出てきていることを政府が恐れている。8日付伯字紙が報じている。
大統領府の情報機関は、軍警のストが起こりそうな州としてリオデジャネイロ、パラー、パラナ、アラゴアス、エスピリトサント、リオ・グランデ・ド・スルの6州をあげている。大統領府が特に恐れているのは、カーニバルを約10日後に控えたリオでのストだが、連邦直轄区でも7日にバイーア州の軍警ストを支持する抗議行動が起きた。同区軍警のエジヴァウド・ファリアス軍曹は「賃上げが起こらない限り、カーニバルでの治安確保はありえないだろう」と悲観的な見方を示した上、ブラジリアでもこの状態なら、他の州は推して知るべしとしている。
リオ州議会は7日、州政府が提出した軍警の給与調整案の承認を、軍警がスト突入か否かを決める9日に先延べした。
また、ジウマ大統領に3日に伝えられたところによると、今回のバイーア州のストは、市警や軍警、消防士の給料に対して全国統一の最低基準を求める議案「PEC300」の通過を連邦政府に迫るための一連の行動のひとつだという。この議案では、軍警の初任給は3500レアルとしているが、州も国も予算の限界を超えるとして難色を示し、2010年3月の下院で一次承認された後は審議が止まった状態。マルコ・マイア下院議長も「同議案を今年中に2回目の投票にかける可能性はない」との声明を7日に出している。
だが、エスピリトサントの軍警の1人がウェブサイトで同法案を通過させるための全国ストを呼びかけているのをはじめ、ツィッターやフェイスブックなどの社会ネットワークを通して全国の軍警が連帯感を築き上げている。1月のストに参加したセアラー州の軍警の1人は「架空の軍隊がストを全国に拡大することは大いにありうる」と語っている。
バイーア州でのストは、7日の16時間に渡る交渉の甲斐もなく、軍警と州政府の合意がまとまらないままだ。交渉が長引いている原因は軍警への恩赦で、ジャック・ヴァギネル知事は「犯罪を犯した人にまで恩赦は出せない」と拒絶している。また7日にはエリアス・アウヴェス・デ・サンタナ軍曹を公共資産窃盗(警察の交通手段強奪)の罪で逮捕した。バイーア州での殺人事件の犠牲者は7日までの8日間で120人を超えた。