ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 「カサビとは組めない」=マルタ氏が同盟に難色=ハダジ氏への協力に黄信号

「カサビとは組めない」=マルタ氏が同盟に難色=ハダジ氏への協力に黄信号

ニッケイ新聞 2012年2月11日付け

 サンパウロ市市長選でハダジ氏を支援するかどうかに注目が集まっているマルタ元サンパウロ市市長が、労働者党(PT)とカサビ市長が同盟を組むことに難色を示していることが明らかとなった。10日付伯字紙が報じている。
 マルタ氏は9日、ブラジリアで行われたPTの党中央委員会の後、今年のサンパウロ市市長選における自身の立場について、「党の動向を気をつけてみているところだ。さもないと党がカサビ氏と手を組み、演壇の上でカサビ氏と握手をしている夢で目覚めることになりかねないから」と語り、ハダジ氏の選挙キャンペーンへの協力が、カサビ市長との同盟を行わないことが条件であることを改めて指摘した。
 マルタ氏は2008年のサンパウロ市市長選挙でカサビ現市長に敗れているが、その選挙キャンペーンの際にもカサビ氏を激しく攻撃し、物議を醸したいきさつがある。9日にも「カサビ氏は私が市長の頃に築いた議会体制を一掃しているのに、今さら彼に何を話すというの」と、改めてカサビ氏への不信感を口にした。
 これを受けて、アントニオ・ドナートサンパウロ市支部長は「カサビ氏との同盟に関してはまだ話し合っている段階だ。選挙戦にはマルタの力が必要であり、必ずキャンペーンに貢献してくれると私たちは信じている」と、マルタ氏の発言を和らげるように語った。
 ハダジ氏はマルタ氏の発言への言及を避けているが、同氏に近い筋は、今回のマルタ氏の発言はハダジ氏への支援拒否を意味するものではないと見ている。
 また、マルタ氏がサンパウロ市市長時代の局長で、下院リーダーになったばかりのジウマール・タット氏は、同じ組むなら民主運動党(PMDB)から副市長を迎える方を好むとの自身の考えを明かした上、「先方が協力を申し入れているなら受けるべきだが、それはPTのプログラムを変えるという意味ではない」と発言。「PTはサンパウロ市を変えるために勝たなければならないのであって、勝つために変わるのではない」としている。
 先に社会民主党(PSD)との同盟に難色を示していたルイ・ファルコン党首は「選挙に勝つためには、党中央がのぞむことより他党との同盟関係を結ぶ許容力の方が大切だ」とした上、「党の定款で禁じられていないことは認められる」と語ることで、PSDとの同盟の意向を示すルーラ名誉総裁からの圧力の大きさをうかがわせた。