ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

赤ちゃんが姉を救う=遺伝性の血液の難病治療=2度の体外受精の末に

ニッケイ新聞 2012年2月16日付け

 遺伝子の異常に起因する病気と戦う5歳の姉を救うため、健全な遺伝子をもち、100%の適合性が約束された、ブラジル初の選ばれた体外受精児が誕生した。15日付伯字紙が報じている。
 11日にサンパウロ市サンルイス病院で生まれたばかりのマリア・クララちゃんは、5歳のマリア・ヴィトーリアちゃんの命を救うために生まれた子だ。
 マリア・ヴィトーリアちゃんは、サラセミアという遺伝性の血液疾患を患っている。この病気はヘモグロビンを構成するグロビン遺伝子の異常によって貧血症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある。ブラジルでも700あまりの症例しかない珍しい病気で、ヴィトーリアちゃんは3週ごとの輸血と、生後5カ月目からはじまった鉄分減少のための投薬を余儀なくされている。
 両親がサラセミアの劣勢遺伝子の所有者で、その2人の遺伝子を受け継いだためにヴィトーリアちゃんは優勢となり発病した。グロビン遺伝子の異常のため、骨髄が正常な赤血球を作り出せない重症型のサラセミア患者は、骨髄移植を行わなければ30歳までに死亡するとされている。
 骨髄移植は骨髄提供者と移植対象者の白血球の型が適合しないと拒絶反応が起こるが、同じ両親から生まれた兄弟姉妹の場合、移植が可能となる確率は25%。適合性のある兄弟からの骨髄移植による病気治療例は1990年代から報告されているが、マリア・クララちゃんは、サラセミアの遺伝子を持たないだけではなく、100%の適合性を持つ珍しい例だ。
 両親が共に病気の遺伝子を持っている場合、病気の遺伝子を持たず、かつ100%の適合性を持つ子供が生まれる確率は18%と低く、経験と技術のある専門家も少ない。100%の適合性を持つ細胞を持つ赤ちゃんの胚が世界ではじめて確認されたのも2004年と歴史が浅い。
 ヴィトーリアちゃんの両親は、体外受精を行うと決めるまでに国内外の医師少なくとも30人と面談。体外受精は2度行われた。六つが受精した初回は、病気の遺伝子を持っていたり適合性がなかったため失敗に終わったが、10個が受精した2度目は、100%適合する胚が二つでき、一つは病気の遺伝子がなく、もう一つも痕跡程度であったため、その二つを母親の胎内に戻した。
 「目標は90%達成した。残る10%は移植だけであとは神のみぞ知る。執念と信念と勇気でここまで来れた」と母親は語っている。
 マリア・クララちゃんのへその緒からとった幹細胞の移植はシリオ・リバネス病院で行われることになっており、数カ月待ってうまくいかなかった場合は、マリア・クララちゃんの骨髄の細胞を使うことになるという。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button