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JICA本邦研修継続が決定=5年の陳情活動が報われ=藤村官房長官が強く後押し

ニッケイ新聞 2012年2月18日付け

 総務省が2007年12月、廃止を含め抜本的に検討するとしたJICAの『継承日本語教師研修』および『日本語学校生徒研修』の継続が決定した。ブラジル日本語センターが中心となって南米諸国を巻き込み実施してきた陳情運動や、日伯交流協会理事長を務めるなど日伯交流に熱意を傾ける藤村修官房長官の支援が実を結んだ形だ。谷広海理事長は「継続実現は藤村官房長官の強い支援があってこそ。これからも将来を見つめた努力を続けていきたい」と感激をあらわにした。

 同研修制度は1979年に開始、ブラジルを始め南米から約4百人の日本語教師を送り出してきた。
 ブラジルの日本語学習者数は約2万人強、約1千人の教師が指導にあたるが、教師の7割は一世で高齢を迎えており、通信講座や研修を通じた若年世代の育成が欠かせない時代となっている。
 生きた日本語を学べる同研修制度は教師養成の柱であり、存続の如何はブラジル日本語教育界の〃死活問題〃だった。
 「日本を知らずして、自信と誇りを持つ日本語教師にはなれない」—とブラジル日本語センターは、答申発表の1カ月後から署名運動を開始。
 07年に来伯したJICAの緒方貞子理事長に直訴、在聖日本国総領事館の協力も得、谷理事長は毎年訪日の度にJICAや外務省中南米部など関係機関を訪れ嘆願を続けた。藤村官房長官にはその都度経過報告を行なっていた。
 「昨年4月、民主党幹事長代理になった藤村さんが、移住政策課長、中南米課長、専門官やJICA菅家者らに日本語教育の大切さを説いてくれたようだ」(谷理事長)
 昨年10月、県連の園田昭憲会長が海外日系人大会のため訪日した際、藤村氏から「研修は続けることになった」との返答があったという。
 谷理事長は「藤村さんがいなければ、制度は廃止されていた」と語り、予算案通過のニュースを聞いた同センターの教師らは手を叩いて喜び合ったという。
 今月初旬、中南米の代表者ら15人が訪日し、今後の研修の大まかな枠組みについて議論が行なわれた結果、従来実施されてきた5コースのうち2コースを国際交流基金が、3コースをJICAが引き続き継続することに決まっている。
 今年度の上半期研修が留保されていたが、詳細が決まり次第年内には実施される見込みだ。