ニッケイ新聞 2012年2月24日付け
貿易部会の伊藤友久(ともひさ)部会長(住友商事)は、ブラジルは輸出入ともに増加しており、対内投資いずれも過去最高を記録していると報告した。11年の輸出産品の47・%は一次産品(鉄鉱石、原油、大豆、珈琲)などが好調だが、続く工業製品(自動車、航空機は36%とレアル高で頭打ち状態にあるとする。
ブラジルの輸出相手国の1位は中国で輸出全体の17・3%(443億1500万ドル)で前年比伸び率43・9%、2位は米国10・1%、続いてアルゼンチン、オランダ、日本は5位(3・7%)となっている。
ブラジルの輸入相手国の1位は米国で総額の15%、2位は中国で14・5%、日本は以前5位だったが、韓国、ナイジェリアに抜かれ、昨年は7位に終わった。12年の見通しに関しては「欧州不安の影響については不透明」とした。
運輸サービス部会の岐部ルイス部会長(UBIK)は11年の回顧に関し、新中間層が需要を拡大させて国内・国際線ともに1割強の伸びを記録した航空業界と、8割近い稼働率を記録したサンパウロ市のホテルに代表される旅行ホテル業界ともに「絶好調」、通信・IT業界は「好調」とした。
サンパウロ市周辺に大規模工場の用地はもうない
建設不動産部会の三上悟(みかみ・さとる)部会長(戸田建設)は、昨年上半期は日本企業の工場建設は好調だったが、後半は欧州危機の影響で陰を落としたとする。「サンパウロ市周辺では大規模な土地はもう手に入らない状態」と強調した。好調に推移するがゆえに「エンジニア不足」「建築資材の供給の遅れ」「建設物価の高騰」などの問題が深刻化している。12年はインフラ整備が進み、日欧米の企業進出も手堅く続くと見ており、「エンジニア不足がより深刻化」するとみている。
フクシマ原発事故で国産醤油に特需
食品部会の石嶋勇部会長代理(ヤクルト)は、11年の動向として、福島原発事故の影響で日本産が入らず醤油は特需的な売上げとなった点、即席めんが購買力を高めてきた低所得地域の多い北部や北東部などを中心に数量8%増を記録した点などをあげた。「外食」に関しては、日本から食料品を運んできたコンテナがサントスで停滞中である問題が続いていることを問題視している。
原料動向に関して相場が高騰している原因として、(1)ブラジルを始めとする新興国で生活水準が上昇したために食糧消費が拡大した、(2)エタノール燃料の需要が増加して砂糖や穀物相場の高値を下支えしている点、(3)世界の投機マネーがコモディティ相場に流れ込みつづけていることなどを挙げた。