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ペースメーカー=ブラジル初の子供への移植=髄膜炎患者の8歳の少年=ブラジル全体では4人目

ニッケイ新聞 2012年2月25日付け

 髄膜炎を患い脊椎損傷を起こしている8歳の少年の呼吸を促すため、子供への治療例としてはブラジルではじめての横隔膜へのペースメーカー移植手術が行われた。24日付伯字紙が報じている。
 手術を受けたのはミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ在住のペドロ・アルトゥール・ディニス君。ペースメーカーの移植は今月はじめ、サンパウロ市のアルベルト・アインシュタイン病院で行われ、先週スイッチも入れられた。裁判所の判決により、手術代の50万レアルはミナス・ジェライス州が支払った。
 ペドロ君は生後1歳6カ月頃の頃に激しい痙攣を起こし、そのときにC型の細菌性髄膜炎と診断された。ペドロ君の父親のロドリゴさん(37)によると、その前から発熱などが続いていたが、小児科は髄膜炎を疑っておらず、薬を渡して帰すだけ。また、個人病院でなら1回280レアル(子供の場合3回の接種が必要)で予防接種が受けられることも知らされていなかった。当時、髄膜炎の予防接種は、公費負担の接種リストに入っていなかった。
 病名が判明したのは、ペドロ君の疲れ方が通常でないのに小児科医がいつも通りに薬を出すだけで帰したことに納得できないロドリゴさんが、総合病院に連れて行ったのがきっかけだった。
 入院して検査をする間も痙攣が繰り返し起き、病名が分かったときは脊椎がやられて首から下が動かない。ペドロ君は横隔膜も動かないため、気管切開を行い、首からつないだチューブで酸素ボンベからの酸素を直接肺に注がないと呼吸出来なくなっていた。
 今回の手術は、ペースメーカーを胸部に設置することで横隔膜の動きを促し、自発的な呼吸にまでこぎつけさせるため。ペースメーカーの作動時間は1日2〜3時間から徐々に増やし、作動中は気管のチューブも外される。ペースメーカーにより、初めてチューブなしの呼吸をしたペドロ君は「すごくいい感じ」と満足している。経過が順調ならば、半年後にはペースメーカーだけの呼吸となるという。
 横隔膜へのペースメーカー移植は1972年に米国で行われたのが最初で、世界では少なくとも3千人がこのペースメーカーを使っている。ブラジルでは2010年以降、3人の成人が手術を受けている。そのうちのひとりは大学に通うまでに日常生活が回復している。
 また、ロドリゴさんは、ペドロ君が体験した苦しみが他の子供に起こらないよう、ペドロ・アルトゥール財団を立ち上げ、100万人の署名を集めてミナス州に髄膜炎の予防接種を公費負担とすることを求めた。ミナス州は09年に全ての2歳未満の子供に無料の予防接種を実施。保健省が公費での予防接種を認めたのは10年も後半になってからだった。

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