ニッケイ新聞 2012年2月28日付け
民主社会党(PSDB)が国内での政治勢力を保てるか否かにも繋がるサンパウロ市市長選に、ジョゼ・セーラ元サンパウロ州知事が出馬の意向を表明し、各党も他党取り込みに熱が入り始めたと25〜27日付伯字紙が報じた。
1月の市長選不出馬宣言から一転してのセーラ氏出馬は、カサビサンパウロ市長が25日に前倒し表明。これを受け、労働者党(PT)がブラジル社会党(PSB)や民主運動党(PMDB)まで取り込む事を考えているとの情報まで流れている。
カサビ氏がPTに急接近した事で急展開となったPSDBのセーラ擁立作戦は、23、24日のアウキミンサンパウロ州知事との話合いでほぼ終結。カサビ氏が「セーラ出馬」「無条件で支援」と表明後の27日、セーラ氏がPSDBに文書で意思伝達という形になった。
セーラ氏擁立はアウキミン知事が先導して進められ、セーラ出馬なら予備選不要との声も出ていたが、PSDB内では、同知事の指示の元で11月から計画されていた予備選参加者の反発など、様々な騒音も沸きあがっていた。
セーラ氏は、党内の混乱や反発を避けるため、自分も予備選に参加する意向を表明。セーラ出馬なら自分は支援に回ると26日に表明したのはアンドレア・マタラゾ州文化局長で、27日にはブルーノ・コーバス州環境局長もそれに倣った。
これに対し、ジョゼ・アニバル州エネルギー局長とリカルド・トリポリ下議は最後まで継続の意向で、3月4日の予備選は、日程変更の可能性はあるが、セーラ、アニバル、トリポリの3氏で争われる事になりそうだ。
一方、カサビ氏率いる社会民主党(PSD)とのサンパウロ市での同盟話が流れたPTは、マルタ氏の協力は間違いなしと確信の上、確約済みの共和党(PR)の他、PSBや民主労働党(PDT)との協力を交渉中。
PSDBは民主党(DEM)と進歩党(PP)の他、PSBやPDT、緑の党(PV)、ブラジル労働党(PTB)などと交渉を続けている。
PT内では最大与党のPMDBと協力すれば間違いなく勝利との声も出ているが、同党にはガブリエル・シャリッタ下議を副にする考えは毛頭ないため、PTとPMDBの協力はシャリッタ氏が一次落ちの時以外はなさそうだ。
今年の市長選は10年の大統領選の続きとも14年の大統領選の予備選とも言われ、どの政党がサンパウロ市で勝利するかは、今後の国政や知事選にも大きく影響する。
14年選挙でのジウマ氏再選を考えるルーラ前大統領に、サンパウロ市でのPSDとの同盟不成立がどの位の重さかは知る由もないが、08年市長選のアウキミン氏や10年大統領選のセーラ氏がTVの無料放送の時間の差に泣いた轍を踏まぬ様、主要各党が他党取り込みに血眼になっている。