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援協=新事務局長に元駐在員=足立操氏「組織固めが重要」=具志堅氏は病院経営委員に

ニッケイ新聞 2012年2月28日付け

 サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)の新事務局長に足立操氏(前事務局長補佐、61、島根)が昇任し、先月から采配をふるっている。SUS病院建設に加え、各傘下施設が市の福祉局と連携した事業を検討するなどブラジル社会との融合が図られている。公益福祉団体の認可更新の申請が今年に迫り、〃転換期〃を迎えている援協の実務担当者として重責を負うことになる。

 足立氏は早稲田大学出身、伊藤忠商事で貿易や海外戦略・企画立案などを担当し、93年に駐在員として来伯。テレブラス電話公社の民営化事業などに関わり、約5年滞伯した。
 「家族が気に入り、子供をここで教育したいと思った」と2000年7月に移住、コンサルタント業を経て翌年ヤクルト・ド・ブラジルに入社した。貿易・総務部長として7年勤めた後、08年8月に故郷・島根県出雲市長選に出馬するも落選し、2011年2月から援協職員。
 民間企業に長年勤めた感覚から「商社は常に世の中の一歩先を行く。組織の目的は違うとはいえ援協はその逆で、意思決定も遅く、違いにとまどった」とか。 「援協は非営利団体だが、良い仕事をするためには正当な利益を上げる必要がある。その最大の収入源である病院の経営は最重要」とした上で、経営陣に専門家がいないために「経営に甘いところがある」と指摘する。
 また「長年人事交流がなくマンネリ化している」と人事面も問題視、「若い人材を登用し、職員の意識改革をしたい」と意気込む。
 さらに、「組織としての体制も未整備」とし、「友好病院には独自の人事部門があるが、あくまで援協の一組織。組織の根幹となる法務、経理、総務、人事部など管理部門は一元化して事務局本部に置く必要がある」と強調した。
 通算27年間援協に勤めた具志堅茂信・前事務局長(70、沖縄中頭郡)は、「援協発展の元となった日伯友好病院ができたことが最も印象深い」とし、「コロニアの高齢化が進んだことで福祉施設が増え、高齢者が社会で交流する場として福祉部の活動も活発化した」と振り返った。
 具志堅氏はマットグロッソ州のカッペン移民として家族で移住し、82年から援協本部診療所で勤務、88年に診療部長。92年に一度退職しデカセギとして渡日したが、94年に復帰、日伯友好病院受付コーディネーター、98年に本部事務局次長、05年から事務局長を務めた。
 昨年末で定年退職したが、現在は日伯友好病院経営委員、やすらぎホーム経営委員、SUS病院建設委員を務め、引き続き活動に参画している。
 今後、援協は福祉から医療事業へ比重を移す方向性にあるが「福祉をおろそかにせず、両方の柱でやっていくべき」と話す。
 「組織としての危機感の薄さや実行力の弱さなどが懸念材料」としたうえで、「入って1年未満で事務局長就任は初。足立さんならやれると思う」とエールを送った。