ニッケイ新聞 2012年2月29日付け
サンパウロ市の今年1月の自動車強盗発生数が昨年同月比で18%増し、強盗殺人も増加傾向にあることがわかった。28日付伯字紙が報じている。
州保安局が27日に発表した統計によると、サンパウロ州で最も増加した犯罪は自動車強盗で、発生数は10・2%増えた。中でも、サンパウロ市は州平均の約2倍近い18・2%の増加を記録している。
この数字に、所有者や運転者がいない隙に盗む窃盗を入れると、サンパウロ州では1時間につき20台の自動車が盗まれた計算になるという。
また、自動車強盗の増加に伴い、強盗殺人も増えている。「自動車強盗の場合、襲われた人が驚いて反応しようとしてしまうことと、頭や胴体が犯人のすぐ傍に位置するため、致死傷になりやすい」と市警のマルコス・カルネイロ・リマ巡査部長は語っている。
また軍警のアルヴァロ・バチスタ・カミーロ司令官は「車の防犯設備が精巧になるほど、窃盗よりも強盗を好む犯罪者が増えている」という。事実、サンパウロ市での車の窃盗は昨年同月比わずか1・3%の上昇にすぎず、サンパウロ州全体では1・43%の減少となっている。
1月のサンパウロ市での強盗殺人事件全体の犠牲者は8人で、昨年の2倍。4日に1人が強盗殺人の犠牲者になっている。カミーロ司令官は、「昨年の7月に法令が変わり、銃の不法所持者も保釈金を払うことが認められるようになったことで、暴力的な犯罪者や出回る銃の数が増えたことが原因ではないか」との見解を示している。
また、サンパウロ市を地区別で見た場合、自動車強盗が最も多発したのは南部のジャルジン・ミリアムの115件で、同じく南部のジャバクアラが114件でそれに続く。また、車の窃盗は、西部の商業繁華街のピニェイロスが108件で最も多く、隣のラッパが103件でそれに続いている。自動車の強盗および窃盗が最も増加したのはラッパの北隣のフレゲジア・ド・オーで、自動車の強盗が619・29%、同窃盗が280・67%の上昇となっており、商業地区も決して安心できないデータとなっている。
なお、今年の1月から一斉取締りが始まったクラコランジアを管轄するサンタセシリアでは、窃盗や強盗の発生率が13・9%減少している。