ニッケイ新聞 2012年2月29日付け
24日未明に起こったブラジルの南極基地コマンダンテ・フェラスでの火災後、研究中だった調査隊の被害や火災の状況、死亡者や被害者への補償額が明らかになりはじめている。28日付エスタード紙が報じている。
全国南極環境調査科学技術研究所(INCT—APA)によると、南極基地で研究中のプロジェクトは約40。今回の火災で、10〜24日に集めたデータや試料は全部失われたという。「調査員全員の帰還を待ち、修復可能なコンピューターに移したデータが残っていないかを確かめる予定だ」とコーディネーターのヨシエ・ヴァレンティン氏は語っている。
INCT—APAは2009年に全国17の大学の研究者200人により発足したが、同団体が失ったのは研究中の資料だけではなく、12万米ドルかけて購入し、ラ米でははじめての、水流や氷山の形を測定し写真に収める機具なども失ったという。
火災原因はまだ判明していないが、海軍兵の証言などから、四つの発電機の一つから発火したが火災報知器が作動せず、発見が遅れたため避難するのがやっとだった、爆発も伴う火災で炎は一時高さ20メートルに及んだことなどがわかった。こうしたことから、電気系統の故障による作動停止が原因ではと推測されている。
また、火災によって死亡したカルロス・アルベルト・ヴィエイラ・フィゲイレド副士官とロベルト・ロペス・ドス・サントス第一軍曹の遺体は28日にリオ・デ・ジャネイロに着き、午前11時に法医学研究所に運ばれた。消火活動にあたった2人の死は「名誉の死」と認定され、遺族に50万レアルの補償金が払われるという。また、調査隊員には1万レアルの補償金が支払われる。