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政策基本金利=景気刺激のために引下げ=中銀総裁が見解を発表=現状の成長率は能力以下=ドルは遂に1・7レ割る

ニッケイ新聞 2012年3月1日付け

 アレッシャンドレ・トンビニ中央銀行総裁が2月28日、現在のブラジルは実際の能力以下の経済成長しか見せておらず、景気刺激のための政策基本金利(Selic)引下げが必要との見解を明らかにしたと2月29日付エスタード紙が報じた。

 上院の経済問題審議会が開いた公聴会に招かれたトンビニ総裁は、この時期に基本金利を引き下げるのは、景気刺激の意味以外の何物でもなく、中銀は新たな視点に基づく経済政策を進めていると強調した。
 インフレ抑制が第一義とされたルーラ政権下の中銀なら、年間インフレを政府目標の範囲内に抑える事が重視され、4・5%という目標達成が危ぶまれる中での金利引下げは考えられないが、現在の中銀は、経済成長促進にも目を向けた上で、3月の金利引下げを考えていると説明。
 2011年の第3四半期以降、本来の能力以下の経済成長しかしていないから、経済活動を後押しするための金利引下げが不可欠だというのが総裁の見解で、2012年の動向については、後半からは景気も盛り返し、昨年末の展望以上の経済成長が可能とした。
 トンビニ総裁の理解では、3月に予定されている基本金利引下げは、インフレを促さずに景気を刺激する事を可能にするもので、インフレを目標値に近づけつつ、より大きな経済成長効果をもたらすような政策を採り続けるという。
 同総裁によれば、昨年9月以降、インフレ対策は奏功しており、基本金利が1桁台に下がるのは時間の問題。時期尚早ともいわれた8月の金利引下げは世界経済の動きの中で判断したもので、11年の経済成長は3%以下、12年も4・5%程度と見られる中で、正しい判断をしてきたとの自負を窺わせた。
 一方、インフレ対策と平行して中銀が担うのが為替対策。ユーロ圏では2月29日から新たな景気刺激策が導入されるため、28日の為替市場はドル安レアル高が一段と進む気配を見せた。現物市場は、取引終了間際の中銀の介入により1ドル=1・7020レアルで閉じ、1・70レアル台を保持したが、サンパウロの証券取引所(ボヴェスパ)の3月期限の先物市場は1ドル=1・6960レアルでひけ、1・70レアルを割った。
 レアル高は輸入品の値下がりにつながり、消費者の購買力向上に役立つが、その一方で、国内産業ならびに輸出産業の力を殺ぎ、弊害も大きい。中銀は、今後も必要に応じて市場に介入する意向を明確にしている。
 現行10・5%の基本金利の引下げについて話し合う通貨政策委員会は6、7日の開催。金利引下げ継続の予想を受けた28日の証券市場は、金融株が売れて2週間ぶりの上げ基調になったが、個人や企業への融資の際の金利は、債務不履行の増加に伴い、年平均で38・3%に達している。