クンビッカ空港=国際線の荷物没収が急増=1月は3年前の3倍に=閉店に追い込まれた商人も
ニッケイ新聞 2012年3月1日付け
サンパウロ市クンビッカ空港では、申請を怠ったために国外で購入した品を没収された乗客が3年前の3倍になっている。2月29日付フォーリャ紙が報じている。
税関によると、1月にクンビッカ空港で荷物監査を受けた人は国際便利用者の14%にあたる約7万1600人で、監査を受けた人の25人につき1人は徴税か、没収処分を受けたという。
その中で、国外での購入品が免税規定の量を超えているにも関わらず、申請を怠っていたがために没収された人の数は1897人。これは633人だった2009年同月の約3倍だ。この現象はここ数年来の外国旅行者の増加の結果だが、同じ期間中の同空港の外国旅行者の増加は26%で、没収者の約200%増には遠く及ばない。没収される品目で最も多いのは衣服で、月に2トンも没収されているという。
荷物の没収には二つのケースがある。一つは、500米ドル以上の買い物を行い未申請だった場合。もう一つが、20品目以上の買い物(10ドル以上の品の場合、同じ種類は3個まで、10ドル以下の品は同じ種類は10個までが免税)を行い未申請だった場合。仮に25品目の買い物をして未申請だった場合、5品目が課税対象となり、乗客が税金を払うのを拒否した場合、その品目は没収され、競売にかけられる。
こうした事情から、事前に申請して税金を払う人も、09年1月には181人だったのが、12年1月には1003人と454%の上昇を示している。
国際線での荷物没収急増の背景には、ブラジル民の所得向上とドル安レアル高によって生じる米国製品の価格の安さがある。サンパウロ州で子供服店を営んでいた女性は、自分の店で売るための衣服を米国で買い込んで帰国したところ、1万米ドル分の品を没収され、店の閉鎖に追い込まれた。税関によると、この女性のように、再販目的や自分用に子供服を買いこみ、没収される人は多いという。
ブラジルでは値段が高い家電製品なども、まとめ買いする例があるが、家電製品の場合、旅行中の個人使用が認められれば免税扱いとなるが、販売用に買い込んだ物は申請を怠ると没収対象になるので注意が必要だ。
アルコール類は12リットルまで、タバコは10箱、葉巻は25本までが免税扱い。本や衛生用品、衣類、カメラや腕時計、携帯電話などは、個人使用と認められる範囲なら免税扱いとなる。