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3月1日にいよいよ発効=日伯社会保障協定とは=第3回=【Q&A編(2)】=駐在員に労災が起きたら?カラ期間」は通用するのか

ニッケイ新聞 2012年3月1日付け

 質問=日本でデカセギとして長く勤めたブラジル人で、仕事ができなくなったため日本で障害年金を受けていましたが、ブラジルで亡くなりました。妻は遺族年金を受給できるのでしょうか。
 回答=
配偶者、18歳未満の子どもがいる場合は遺族年金が支給される可能性があります。ただし、障害年金といってもレベルによって内容は様々で、それによって要件も変わります。日本で受け取られていた障害年金の内容を確認してみてください。
 質問=デカセギとして日本で16年間働きました。年金は支払ったことがありません。諸々の税金はすべて支払っていましたが、それでもやはり年金はもらえないのでしょうか。
 回答=
所得が低い人は国民年金が免除される場合があります。要件を満たせば、納めたものとして計算される可能性がありますので、16年間どのような形で就労されていたのか、記録を確認する必要があります。
 質問=ブラジル・トヨタの担当者です。一時派遣適用証明書の交付を申請して発行されるまで、どれくらい時間がかかりますか。
 回答=
INSSでは申請から発行まで30日ほどを要する見通しです。申請者が多いとそれ以上がかかることもありますので、新規の場合は早めに申請されることをお勧めします。
 質問=日本からの一時派遣者(駐在員)です。協定発効後、ブラジルで労働災害に遭った場合、日伯どちらの労災が適用されるのでしょうか。
 回答=
ブラジルでは労災保険制度と年金制度が一体的に運用されています。INSSに加入していない日本からの一時派遣者については、両国の強制的な労災保険の適用が行われない状態になります。
 万一の労災に対応するため、年金事務所へ適用証明書を申請するさい、日本の労災保険制度への特別加入か民間の労災保険への加入が奨励されています。
 質問=5年間日本へデカセギに行き、その間年金も払っていました。1年4カ月前に帰国したのですが、脱退一時金を請求したいと思っています。まだ権利があるでしょうか。
 回答=
一般的に、外国人は日本に居住する期間が短く日本の年金を受給するために必要な保険料納付期間を満たさないまま帰国する場合が多くみられます。
 そのため、帰国後に請求することで、納付した保険料に応じた一定程度の給付を一時金として受け取れる「脱退一時金」という制度があります。 
 ただし、脱退一時金を受け取るとすべての加入期間はなかったものとなり、将来年金として通算することはできなくなります。
 日本国籍をもっていないこと、6カ月以上年金に加入したこと、日本に住所がないこと、帰国後2年以内に請求することが支給要件となります。
 質問=この協定では、年金を受け取るための資格期間として計算できるものの、年金額には反映しない期間(カラ期間)も通算できるのですか。
 回答=
通算できます。
 質問=日本からの一時派遣者です。3月1日以前から派遣されているのですが、今からでも適用証明書は申請できるのですか。
 回答=
3月1日から5年以内であれば、来られた日からさかのぼって申請することができます。(つづく、田中詩穂記者