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なでしこユースが来伯!=初の日伯女子サッカー試合=2、4日にサンパウロ市でキックオフ=「震災遺児救う施設を」=あしなが育英会が支援要請

ニッケイ新聞 2012年3月2日付け

 昨年見事世界一に輝いた日本女子サッカー代表チーム「なでしこジャパン」のユース(18歳未満)が、大震災支援に一肌脱ぐ——。東京に本部を置き、国内外の遺児を支援している非営利組織「あしなが育英会」(玉井義臣会長)が計画する、震災で親を亡くした子供達の心のケアをする施設「東北レインボーハウス」の建設費用捻出を目的に、日本の女子サッカーユースがブラジルのチームとサンパウロ市で親善試合を行うにあたり、選手団、全面協力した日本サッカー協会や同会の関係者ら総勢33人が27日に来伯、29日に宮城県人会で記者会見を行った。日本の女子サッカーチームのブラジル遠征は史上初だ。

 選手は16人。全日本女子サッカー選手権大会で、高校生チームながら3位に輝いた宮城県仙台市の常盤木学園、聖和学園、JFAアカデミー福島などに所属する、宮城、福島出身の17歳以下の選手が集められた。
 チームの中には自宅が津波に流されて親族を亡くした選手もいる。自宅が被災し、曾祖母やおばを亡くした常盤木高校二年生の八幡あすかさん(17、石巻市)は、「辛い思いをしたが震災後も毎日サッカーができている。ブラジルの遠征に来られて嬉しい。勝てるようにしっかりプレーしたい」と挨拶した。
 本紙の取材に対して、「貴重な経験。ブラジルの選手は大柄でスピードがあるが、小柄な私たちでもできることがあると思う。パスを意識してチームプレーを発揮したい」と意気込んだ。
 「レインボーハウス」建設には約25億円の費用を要し、現在17億が集まっている。玉井会長(77、大阪)は「未だいつ復興するかわからず、予断を許さない状況。被災した子供たちに対する癒しの場が必要で、一刻も早くレインボーハウスを建設したい」と話し、「温かく見守ってほしい」と資金援助を訴えた。
 気仙沼市出身の中沢宏一・宮城県人会長は一行に歓迎の意を示し、「震災後、我々もできることを精一杯やってきた。ブラジル人も兄弟のように心配し、大変応援してきたが、そういう国に皆さんが来てサッカーを通じて交流されるのは意義深い」と挨拶。グラウンドが避難所となり、辛い状況でプレーを続けているという選手団に対し、「頑張ってほしい。今後の活躍を期待している」と激励した。
 親善試合の日程、場所と対戦チームは次の通り。入場無料。2日=対セントロオリンピコ、午後3時、サンパウロ市の同チームスタジアムで(Avenida Ibirapuera, 1315)。4日=対ジュベントス、午後3時、サンパウロ市の同チームスタジアム(Rua Javari, 117, Mooca)。
 また、一行はサンベルナルド・ド・カンポ市のアルモニア学園を5日訪れ、同学園の高校生とフットサルの試合や夕食をともにした後、7日未明に帰国の途につく。
 レインボーハウス建設資金は、同会ホームページ(www.ashinaga.org)からクレジットカードを利用して寄付できる。