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W杯=ヴァルケ事務局長が謝罪=〃ブラジルの尻を蹴る〃発言で=W杯法案にも影響か

ニッケイ新聞 2012年3月7日付け

 「ブラジルの尻に蹴りを入れる」との発言が物議を醸していた国際サッカー連盟(FIFA)のジェローム・ヴァルケ事務局長が、アルド・レベロ・スポーツ相に謝罪を行った。3〜6日付エスタード紙が報じている。
 ヴァルケ事務局長はロンドンで2日、遅々として進まないブラジルのワールドカップ(W杯)の準備作業への苛立ちを表明した。発言は局長の母国語であるフランス語で行われたが、その際、その言葉が「我々FIFAとしてはブラジルにプレッシャーをかけるべく、尻を蹴り上げなければならない」と訳されて伝わった。さらに「ブラジルは運営面を忘れ、試合に勝つことだけを気にかけている」と皮肉った。
 この発言にブラジル内では早速、非難轟々の反応が起こった。労働者党(PT)のカンジド・ヴァカレッサ下院リーダーは「こんな態度を取られたのではW杯法案の話し合いはできない」とし、12日に来伯するヴァルケ氏が国会に来たら詰問する姿勢を示した。
 また、アルド・スポーツ相は「発言はきわめて受け入れ難いものでブラジルとFIFAの協調関係にはひびが入った。これ以上、ヴァルケ氏をFIFA側交渉役として迎えることはできない」と抗議の意を示唆した。
 ヴァルケ事務局長は当初、こうしたブラジル側の反応を「幼稚だ」と切り捨てていた。だが、アルド・スポーツ相がFIFAのブラッター会長にヴァルケ氏を批判する手紙を送ったことで態度を急変。ヴァルケ氏はアルド氏に手紙を送り、その中で「フランス語で〃尻を蹴る〃というのは〃渇を入れる〃と同義の言葉で、それが思いのほか強い意味で広まってしまった」と、発言が誤訳であることを強調し、さらに14年のW杯はブラジル開催であることを確約した。
 一方、「たしかに言葉遣いは不適切だが、発言の意図は100%正しい」とロマーリオ下院議員が語っているように、ブラジルのW杯への準備が遅れているのは事実で、来年はコンフェデレーション・カップ開催という段階でも、スタジアムの建設から空港の整備、ホテルの確保などの問題は依然解決されておらず、2007年に承認されなければならなかったW杯法案は5年後の現在も持ち越しになっている。
 だが、このヴァルケ発言が引き金になり、W杯法案で問題になっていた酒類の販売を禁止し、高齢者やボルサ・ファミリア対象者、学生への半額チケットの発売を可決しようとの気運も高まり、FIFA側を脅かしはじめている。