ニッケイ新聞 2012年3月8日付け
同じ仕事内容で、女性に対し男性より低い給与が支払われた場合、その企業は罰金対象となることになりそうだ。7日付伯字紙が報じている。
これは民主運動党(PMDB)のマルサル・フィーリョ議員による法案で、上院の人権委員会は6日、この法案を可決した。同法案は、最低8人の上院議員が本会議で審議するよう訴えない限り、ジウマ大統領の裁決に委ねられる。「大統領は必ず承認すると思う」とエレノラ・メニクッシ女性政策局長官は秘書を通じてコメントした。
この法案によると、男女間の給与格差が認められた場合、企業は女性従業員に、男性従業員との差額の5倍の罰金を支払うことが命じられる。
この法案の上程者である労働者党(PT)のパウロ・パイム氏によると、同法案は既に憲政委員会(CCJ)と上院社会委員会(CAS)の承認を得ている。「ブラジルの憲法と労働法は同じ業務内容の労働に対する男女格差を禁じているのに、現実では守られていない。現状の法規は今日の社会が直面している男女の給与格差をやめさせるには不十分だ」と同氏は語っている。
現在のブラジルでは、同じ仕事をする男女の給与は1対0・73だが、給与格差は縮小傾向にある。2010年から11年のサンパウロ州都市部での男性労働者の時給は9・49レアルから9・54レアルと0・05レアルの伸びたのに対し、女性の時給は7・14レアルから7・32レアルと0・18レアル上昇している。
国連女性部のブラジル及び南半球代表のレベッカ・タヴァレス氏は同法案の上院通過を「大きな一歩」と評価したが、「何をもって男女の給与差別とするのか」「経験の差やそれにかかる時間に対する考慮はどうするか」を指摘する声もある。