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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年3月8日付け

 日本の報道によれば、東日本大震災に対する義捐金の総額は、5200億円に達するという。日本赤十字や中央共同募金会、岩手、宮城、福島の3県などに集まったものの集計で、実際はもっと多いだろう。もちろんこのなかには台湾の100億円やブラジルの6億円も入る。3県に入ったボランティアも93万人強▼今週の日曜日で震災発生から、ちょうど1年が経つ。編集部に届く新聞や雑誌、ネットでの情報でもだが、様々な企画やイベント、追悼記事が溢れている。今月4日にテレビ東京で放送されたドラマ「明日をあきらめない」を早速知人が編集部に持ってきてくれた。仙台が本社の河北新報社が「被災者に寄り添う」をモットーにした震災直後の報道活動をドラマ化したものだ▼本紙先月29日付けでもお伝えしたが、サンパウロでも様々な記念イベントが行なわれる。メトロ駅やバンデイランテス宮の写真展、日本食紹介、和太鼓、映画上映、講演会などなどー。6行前にコロニアでも、と書かなかったのは、これらのイベントは領事館や交流基金の主導であることだ▼コロニアがーと書けるのは、追悼ミサくらいではないか。もちろん様々な日系団体がイベントを実施し、義捐金活動に繋げている。しかし昨年の漢字に選ばれた〃絆〃に示されるような連帯を、世界最大の日系社会が示せなかったことがどうも残念に思える。日本に対してだけではない、世界有数の親日国である養国ブラジルに対しても、である▼昨年の文協追悼ミサでは、献花時に尺八の生演奏。鎮魂の祈りの邪魔をするようなトンチンカンな雰囲気づくりだけは避けて頂きたいものだ。(剛)