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スペイン=77歳女性を強制送還=着の身着のまま空港で3日=入国規制での対立も原因か

ニッケイ新聞 2012年3月10日付け

 スペインのマドリッドの空港に3日間拘留されていた77歳のブラジル女性が8日に帰国した。ブラジルがスペイン人の入国制限を発表し、スペインが批判した直後の出来事だった。9日付フォーリャ紙などが報じている。
 サンパウロ州スマレー在住のジオニージア・ローザ・ダ・シウヴァさん(77)は、スペインに7年間在住している孫娘と共に、スペインにいる娘のところに向かっていた。ところが、到着したマドリッドのバラハス空港で一人だけ拘留されることになってしまった。
 ジオニージアさんが拘留された理由は、スペイン国内の滞在先を明示した招待状を提示しなかったこと、さらに、12日間の滞在期間中に必要な費用(欧州での滞在1日につき70ユーロ)を現金やカードで持っていなかったことから、入国が認められた孫娘と引き離され、空港内にあるベッド付の部屋に連れて行かれた。
 ジオニージアさんは娘夫婦が不法滞在であるために強制退去の対象とされ、3日間拘留された後、8日に帰国した。
 だが、娘夫婦は「合法的居住のための再申請は行っており、政府からの回答待ちだった」と反論している。また、この旅行はジオニージアさんにとって人生初の外国旅行でもあった。また、帰国が遅れたのは、ジオニージアさんが利用した航空会社のサンパウロ州行きの飛行機は週2便しか運行してなかったからだという。
 8日、ジオニージアさんはクンビッカ空港に降り立ち、待っていた娘婿の姉妹ジラー・デ・オリヴェイラさんと涙の抱擁を交した。「着替えもないまま誰も知らない部屋に置かれ、塩気のない食事を取らされ、死ぬかと思った」とジオニージアさんは語っている。
 ブラジル領事館によれば、ジオニージアさんのような高齢者の強制送還は初めてだという。
 スペインとブラジルは空港での入国に関してかねてから緊張関係があった。スペインの空港が不法入国を理由に拘留するのはブラジル人が最多で、2007年には3千人を超えた。その数は減少傾向にあるものの、2011年も1412人が入国を拒否され、今年1〜2月も156人が拘留された。
 これに対し、ブラジルもスペインからの入国者の受け入れ基準の変更を行うことを決めた。それは、半年以上有効期限のあるパスポートと1日につき170レアルの所持金、滞在先からの登記所の証明つき招待状など、スペインがブラジルに課しているものよりやや厳しい内容だ。政府は4月2日から行うと発表しているが、それに対しスペイン政府は不満を表明していた。

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