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サンパウロ州=欧州人の運び屋が急増=経済危機後の金欲しさに

ニッケイ新聞 2012年3月13日付け

 サンパウロ州での外国人逮捕者で欧州人が激増し、中でも麻薬取引によるものが目立つという。11日付伯字紙が報じている。
 以前は麻薬犯罪というと経済的に貧しい国によるものという印象が強かったが、最近では先進国の犯罪者によるものが目立っている。グアルーリョス空港での調査によると、〃ムーラ〃とも呼ばれる欧州人の運び屋の逮捕は、欧州での経済危機が本格化する前の2008年12月には264人だったが、今年2月には476人と80%以上増えている。同時期の外国人の逮捕者は全体で39・9%の増加であることから、同種の犯罪にかかわる逮捕例は2倍以上増えていることになる。
 欧州からの運び屋の増加は、欧州での麻薬価格の高さが原因だ。ボリビアで1キロ1500ユーロで買ったコカインは、欧州では4万ユーロで売れ、運び屋が何人か捕まったとしても元が取れるという。
 また、国別で見た場合に最も多いのはスペインで、2位がポルトガル。だが、スペインに関しては4月から施行されるブラジルのスペインからの入国規制によって今後減少するものと思われる。このイベリア半島の2国は、ブラジルから欧州への麻薬密輸の玄関先としても知られている。
 また、以前は前科者の目立ったムーラだが、最近では初犯が目立つという。その理由としては欧州での深刻な経済危機による失業の存在があり、幼い子供の養育を犯罪の動機にあげるものが目立つという。
 その一方、リオでは経済危機で仕事を失った欧米人が仕事を求めて来伯し、「英語が話せる」などの理由で飲食店などで重宝される現象が起きているといい、明暗が分かれる結果となっている。