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永遠の上院リーダー失墜=与党反乱で大統領が決断=後任はやっぱりPMDB=下院も含め持ち回り制に

ニッケイ新聞 2012年3月14日付け

 【既報関連】ジウマ大統領が12日、民主運動党(PMDB)のロメロ・ジュカ上議を上院の政府リーダーから外し、上下両院の政府リーダーは持ち回り制とする意向を表明したと13日付伯字紙が報じた。

 政府と議会とのパイプ役となり円滑な法案審議などを図る政府リーダーは、政府と議会の要というべき存在だが、PMDBを主軸とする連立与党側の静かな反乱が政府の意向を覆す事態の発生を許し、政府リーダーの首の挿げ替えまで引き起こした。
 上院リーダー交代の直接的な原因は、7日に起きた国家陸路運輸庁(ANTT)のベルナルド・フィゲイレド長官の再任拒否で、ジュカ上議は当初、長官再任は確実と政府側に報告していたが、実際の投票では36対31で再任が拒否され、ジウマ政権は初の敗北を喫した。
 連立与党内に高まっていたジウマ政権に対する不満がフィゲイレド長官の再任拒否の形で表れる可能性は、大統領府にも事前に伝わっており、何かあれば政府側の報復ありと懸念する一部議員から投票を延期してはとの声が出ていたにもかかわらず、投票を進めたのはジュカ上議だった。
 また、8日の国際女性デーか、上院が13日に予定した女性顕彰のための行事に出席した際にジウマ大統領が裁可する予定だった、男女の給与格差を禁じる法案が、上院議員8人の署名提出で本会議での審議事項となった事も、大統領をいらだたせた。
 ジュカ上議の更迭は7日の時点で決まっており、上院のPMDBリーダー、レナン・カリェイロス上議は12日、大統領から、ジュカ上議の後任はPMDBのエドゥアルド・ブラガ上議とする旨を告げられた。
 大統領はこの時点で上下両院の政府リーダーを持ち回りにする意向を表明。カンジド・ヴァカレツァ下院リーダーには13日朝交代が通達されたが、13時現在、後任者は発表されていない。
 ブラガ上議は、マナウス市長や下議、アマゾナス州議などを経、アマゾナス州知事を2期務めた人物で、2010年に上議当選。ルーラ前大統領の友人で10年選挙でも労働者党やジウマ大統領を支援した。ジョゼ・サルネイ上院議長やカリェイロス上議が巨大な権力を有している事に反発している議員の一人だ。
 フィゲイレド長官再任拒否の可能性をイデリ・サウヴェッチ政治調整担当長官に告げたのもブラガ上議で、政府リーダーへの選出には前大統領の進言もあったという。
 ジュカ上議はフェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ政権からルーラ政権、ジウマ政権で18年政府リーダーを努め、〃永遠のリーダー〃とも呼ばれたが、政府は、サルネイ、カリェイロス両氏と距離を置くブラガ上議登場で議会運営が迅速化すると期待している。