ニッケイ新聞 2012年3月14日付け
11日午後2時からサンパウロ市の文協ビル大講堂で行われた東日本大震災一周忌法要では、宮城、岩手、福島の3被災県知事からのメッセージが各県人会長によって代読された。なかでも佐藤雄平福島県知事の「あの日、あの時を迎えるまで、このふくしまの姿を誰が想像できたでしょうか」というメッセージを、小島友四郎ブラジル県人会長が途切れ途切れに読上げると、会場のそこかしこから嗚咽が漏れた。そして最後に、3知事のメッセージに対して、来場者全員から温かい拍手が送られた。ブラジルからの支援に感謝する被災県知事からメッセージをここに掲載する。
懸命な県民の姿こそ誇り=福島県知事 佐藤 雄平 (小島友四郎県人会長代読)
2011年3月11日午後2時46分。
あの日、あの時を迎えるまで、このふくしまの姿を誰が想像できたでしょうか。
大地震、大津波は、多くの尊い命と穏やかだった私たちの暮らしを、非情にも奪い去りました。
原子力災害は、美しいふくしまを一変させました。
さらに、風評被害は、地域の活力を奪い、私たちの心までも深く傷つけました。
この1年、福島県は、深い悲しみや悔しさを抱えながら、ある人は、住み慣れた土地を追われ、ある人は、少しでも元の暮らしを取り戻そうと汗を流し、またある人は、家族離ればなれの生活を選びました。そして、見えない放射線への不安とも闘いながら、それぞれが必死に毎日を生き抜いてきました。
これほど厳しい状況にあっても、取り乱すことなく、地域のきずなを大事にしながら、一生懸命頑張っている福島県民を、私は誇りに思っております。
未曾有の大震災以降、ブラジルを始め、世界中の皆さんから、温かい励ましのメッセージやたくさんのご支援をいただきました。福島県は大いに助けられ、励まされ、勇気をいただきました。改めて、心より感謝を申し上げます。
今年は、福島県の「復興元年」であります。
日本国内はもとより、世界中の多くの方々に支えられながら、福島県民と力を合わせ、美しく、豊かな県土を取り戻し、子どもたちの笑顔あふれる「新生ふくしま」を創っていきたいと考えています。
そして、これから復興に向かう福島県の真の姿を積極的に発信し、風評被害の解消と原発事故の風化防止に努めてまいります。
遠くブラジルの地から応援してくださる皆さん方にも、引き続き福島の復興を見守っていただきますとともに、温かいご支援をいただきますようお願い申し上げます。
結びに、ブラジルと福島県との友好交流が一層深まることを祈念いたしまして、メッセージといたします。