ニッケイ新聞 2012年3月14日付け
サンパウロ州の遊園地「ホピ・ハリ」での転落事故で娘を失った西村ユカリさんの両親との対面は、忘れられない経験となった。
記者会見で、途切れずに続く記者団の質問に気丈に答えていた二人。会見後に日本語で話しかけると、表情を和らげて日本語で返してくれた。
母のシウマラさんは「事件のことを話すのは辛いけど、娘を思い出すのは嬉しい」と笑顔を見せ、メディアには厳しい対応だった弁護士にも「日本語の新聞の人だから特別」と伝えるなど、記者に対する気遣いまで見せてくれた。
完全な帰伯も視野に入れているという夫妻だが、日本の良さを認め定住を決めていた矢先、娘を失った祖国に再び適応するのは容易ではないだろう—と想像する。
悲しみが少しずつでも癒え、一家が再び希望を抱いて歩み出せる日が一日でも早く来ることを願ってやまない。(詩)