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Enade=教育省が実施要綱を変更=私立大手の不正疑惑で=優秀な学生だけが受験?=ランク付や宣伝の有力手段

ニッケイ新聞 2012年3月16日付け

 アロイジオ・メルカダンテ教育相が14日、卒業直前の大学生を対象としていた学力試験(Enade)を最終学年生すべてに受験させると発表したと15日付伯字紙が報じた。私立大手校が優秀な学生だけに受験させて好結果を得たとの告発を受けた変更で、事実関係の調査も続いている。

 毎年11月に行われるEnadeは、3年サイクルで行われる教育省の大学評価手段の一つで、全国規模で行われる試験の結果は各大学のランキングにも使われる。それだけに、評価対象学部の学生が残す結果は、大学の評価を左右し、教育省の監査の有無まで決める大切なものだ。
 この試験は評価対象学部の最終学年前期を終えた学生全員が受け、評価の高い大学には格好の宣伝材料となる一方、1や2と評価された大学は教育省の監査対象となり、改善が見られない場合、学生募集停止などの処置もとられる。
 ところが、学生数で全国4位の大手校が、8月の受験申込みの時点で必要な単位の8割を履修済みの学生という条件を悪用し、受験生を限定してEnadeの結果を粉飾した疑いが生じた。
 3、4日付伯字紙によれば、不正疑惑が生じたのはパウリスタ総合大学(Unip)。10年のEnadeで、評価対象の保健衛生関係部門の受験生を限定し、試験の結果を粉飾したという。
 10年のEnadeを受験したのは、同年の卒業生の41・2%。通常の大学なら、年の半ばで卒業するのは3割で、年末に最終学年を終える学生が7割だが、Unipの場合、10年の卒業生の6割は年の半ばに履修課程を終えた事になる。
 また、栄養学専攻の学生の成績は07年より207%増の4・13、歯学専攻の場合も49・55%増の4・46など、3年の改善努力ではありえないほど向上。栄養学の受験生は新入生の10・84%、薬学は1・08%など、受験者比率が極度に低く、対象学年の前年末在籍者数を大幅に割り込んだ事は伏せ、全国でも上位の成績と宣伝に利用している。
 これらの数字は、Unipが、最終学年前期の成績が一定レベルに達していない学生を不合格にして受験生を限定、その後はレポート提出などで単位を認め、卒業させたりした証拠といえる。
 全国レベルでは受験生の比率が増える中で受験生が激減、すべての学部で成績が急向上し、4、5と評価された学科も3年前の三つから69に急増という結果を不自然と判断した教育省は、1日に同校に説明を求める文書を送付した。
 現在は12日に送られてきた返答を検討中で、不正が判明すれば処罰も行われるが、事実解明前の受験対象拡大は、翌年半ばに卒業予定の学生も受験させれば、前期の成績操作による不正を防ぐ事が出来ると判断した結果だ。新要綱は今年の試験から適用される。