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アルゼンチン=大統領批判で放送中断=報道規制のさらなる強化か?

ニッケイ新聞 2012年3月16日付け

 アルゼンチンのテレビ番組の放送中、出演者がクリスチーナ大統領を批判した直後に放送が中断される事態が起きた。15日付エスタード紙が報じている。
 13日夜、ニュース専門のケーブルテレビ局、C5Nの生放送のインタビュー番組「Longbardi En Vivo」で、ゲスト2人がクリスチーナ大統領に批判的なコメントを行った。
 一人目は元外交官のホルへ・アシス氏で、アマド・ボウドウ副大統領の汚職は「大統領も全て知っている」と発言後、クリスチーナ、キルチネル前大統領の両政権で官房長官を務めたアルベルト・フェルナンデス氏が、「大統領は気に入らないことを耳にするといつも放送局に激怒する」といった途端に番組が終了した。
 14日、C5Nのダニエル・ハダジ会長は政府の圧力での中断を否定。「番組内で行き過ぎた発言が行われたから」と説明したが、14日未明に予定されていた2度の再放送の中止については触れなかった。
 C5Nは前大統領時代に政府との結びつきを強め、大統領の演説もノーカットでの放映を認められるなど、国営放送のプブリカ局よりも強い力を持ちつつある局だ。
 今回の番組中断についてアシス氏は「今の政府の中にはプーチン主義が蔓延しつつある」と、マスコミに強い報道規制を行ったことで知られるロシアのプーチン大統領を例に出し例えた。
 また、米州報道自由連合委員会(SIP)広報のクラウジオ・パオリーロ氏は、「政府の内幕をよく知るフェルナンデス氏を呼んで中断を正当化させるような状況を作った」とC5Nを批判しつつ、「これは現政権のマスコミに対する次なる規制だ」と語った。
 アルゼンチン政府とマスコミの対立はキルチネル前大統領の頃から始まり、クリスチーナ第一次政権の08年にメディア法が規定されている。