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政府と国会の関係収まらず=リーダー交代で油注ぐ=PT内にも不満分子増加=W杯法や予算の行方は?

ニッケイ新聞 2012年3月17日付け

 ジウマ大統領が上下両院の政府リーダーを交代した事で、政府と国会の間の緊張が増し、民主運動党(PMDB)等の連立与党はおろか、お膝元の労働者党(PT)でも不満噴出と15、16日付伯字紙が報じている。

 政府が国会からの声に耳を傾ける事は政権運営の基本—。連立与党内の不満を抑えるため、交渉役の政府リーダーを交代させたジウマ大統領に、ブラジル初の弾劾裁判で大統領の座を去ったフェルナンド・コーロル・デ・メロ上議が忠告した。
 選挙戦も経験せず閣僚入り後、女性として初めてブラジル政界の頂点に就いたジウマ大統領に、政治家としての手腕を問われる事態が続いている。
 PMDBが大統領はPTを身びいきしていると言い出した事などを発端とする連立与党内の不満の火種は、14日の上下両院の政府リーダー交代で更に油を注がれた。
 3人の大統領の下で上院政府リーダーを務めたPMDBのロメロ・ジュカ上議と党内非主流派のエドゥアルド・ブラガ上議との交代は、同党の非主流派を取り込み、国会審議を容易にすると考えられていたが、実際は、レナン・カリェイロス上院リーダーやジョゼ・サルネイ議長がジュカ上議を13年度予算案のまとめ役に指名、ブラガ上議と同じアマゾナス州選出のアルフレッド・ナシメント元運輸相率いる共和党(PR)のブライド・マギ上院リーダーが野党転向を宣言など、新たな障壁が出現した。
 一方、下院では、アルリンド・キナリア新下院リーダーが就任初日に各党リーダーを集め、14年のW杯会場での酒販売を認める項目削除の合意を得たが、スポーツ相から酒販売は国際サッカー連盟(FIFA)との合意事項で覆せないといわれ、下院に回すW杯法の文面を慌てて訂正などの不始末。大統領から話を聞く前に交代と報じられたPTのカンジド・ヴァカレザ下議の中にも、しこりが残ったという。
 13年の上下両院議長の人選、閣僚や局長レベルの人事、議員割り当て金の支払い遅れなどの問題が山積みのままでの政府リーダー交代は、グレイシー・ホフマン官房長官やイデリ・サウヴェッチ政治調整担当長官の交渉力や経験の不足を補うには不充分。議員割り当て金の支払いを大統領が差し止めている事を不満とする国会では、ジュカ上議のまとめる予算案で、政府による割り当て金支払い停止を不可能とする可能性も高い。
 自分の計画通りに事を運びたいタイプの大統領は、イデリ長官に毅然とした態度をとるよう指示したというが、長官の態度の変化も国会内の不満を募らせた理由の一つ。民主労働党(PDT)や社会党(PSB)、緑の党(PV)、ブラジル共産党(PCdoB)他、福音派議員からも不満の声が出ている今、PT内では14年選挙にルーラとの声も出始めている。