ニッケイ新聞 2012年3月17日付け
メキシコとの間の自動車の輸出入格差を埋めるための協議で合意が成立し、同国からの自動車輸入増大に歯止めがかかることとなる。16日付伯字紙が報じている。
15日に合意に至った内容では、メキシコからの乗用車の輸入は、2012年は14億5千万米ドルまでとされ、13年は15億6千万米ドル、14年は16億米ドルが上限となる。メキシコからの乗用車の輸入は2007年の5億米ドル以降急増し、2011年には前年比8億米ドル増の21億米ドルに到達。07年の11億米ドルから11年には5億米ドルに下落したブラジルからの輸出との間に16億米ドルの開きが生まれていた。
メキシコとの収支バランスが崩れ始めたことを気にするブラジルは2月、メキシコとの間に2002年に結んだメルコスールACE55条を破棄し、この条例によって免除されていたIPI(工業製品税)を課すことも示唆したが、メキシコ側が難色を示したため、上限を設定する交渉を開始。
最初は「向こう5年間の輸入額を平均11億7千万米ドルに」と提案したが受け入れられず、次の「3年平均で14億米ドル」という額も合意には至らなかった。だが、今回輸入額が合意に至ったことで、メキシコ車はIPI課税を免れた。
また、もうひとつの争点は、ブラジルへ輸出する車に使う国産部品の割合で、ブラジルはそれを30%から45%に引きあげるよう求めていた。
現在のメキシコからの乗用車の大半は他国の自動車会社がメキシコ内の工場で生産したもので、イタリアのフィアット、米国のGMやフォード、日本の日産やホンダなどが含まれている。これに対してもメキシコ側は難色を示し、結局、当面は35%、16年から40%の上昇に止まった。ブラジルとメキシコでは「国産」と判断する基準が異なり、メキシコでの40%はブラジルでの75%に相当する。
14日にメキシコシティでメキシコのブルーノ・フェラーリ経済相と協議を行ったピメンテル商工開発相は15日、ペルナンブーコ州ゴイアナでメキシコとの合意の件に触れ、「もし合意に至らなかったら、14年にゴイアナに建設される予定のフィアットの工場は市場を失うことになっていただろう」と語った。また、合意は妥当なもので、この件でブラジルは保護主義だと責められる筋合いもないと語った。
ブラジルは2011年の自動車生産台数のランキングでインドに抜かれ世界第7位に後退しており、輸入車増大による国内の国産車市場の縮小は避けたい立場にある。