利豊グループがブラジルに？＝香港に本社置く多国籍企業

ニッケイ新聞　２０１２年３月１７日付け

　香港を拠点とする利豊（Ｌｉ＆Ｆｕｎｇ）グループが、ブラジル進出を希望していると１５日付エスタード紙が報じた。
　世界の小売業者への消費財のデザイン・開発・調達と、世界の大手ブランド向けの広範な物流網と流通網運営を中核とする多国籍企業で、世界４０以上の国や地域の従業員は３万７千人以上。
　中米では知られた企業だが、ブラジルは未開拓。ブラジルで世界大手に製品を供給できる企業を見つけ、輸出促進に協力したいという同グループは、ブラジルの保護主義的な姿勢に辟易してもいる。
　ブラジル繊維業界の１１年輸出額は前年比１・５％減の１４億２千万ドルだが、量は前年比９％減。アルゼンチン向け輸出は増えているが、米国向けが４０％減少した最大の原因は、賃金の安さを利用して中国商品を調達した利豊グループが同国に乗り込んでいる事だ。
　そのグループの国内進出はブラジル業界の解決策となる可能性があるが、中国企業は現地企業を買収して自分達の基準や論理で生産を始める傾向があり、現地の興味や需要に副わない事も多い。
　グループ側はブラジル企業と競合する気はないというものの、国内の繊維、服飾業者は戦々恐々として動向を見守っている。