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エジプト=ブラジル人女性2人が誘拐=約8時間後に無傷で釈放=同種事件多発のシナイ半島

ニッケイ新聞 2012年3月20日付け

 18日にエジプトのシナイ半島でブラジル人女性2人が誘拐されたが、8時間後に無事保護と、19日付伯字紙が報じている。
 誘拐されたのはサンパウロ州オザスコ在住のサラ・リマ・シウヴェーリオさん(18)とゼリア・マガリャンエス・デ・メロさん(44)で、2人は宗教団体「信仰のリバイバル教会(イグレジャ・ド・アヴィヴァメント・ダ・フェー)」の旅行でエジプトを訪れていた。
 同団体は42人でエジプトを訪れており、18日はピラミッドで知られるギザのホテルを出て、運転手とガイド、私服警官など計5人のエジプト人と共にバスでシナイ半島に向かっていた。
 だが、現地時間の16時30分(ブラジリア時間11時30分)頃、武装した遊牧民6人が乗る2台の車に進行を妨害された。警官は交渉を試みたが、遊牧民は空や警官の足元に銃を撃つなどして脅した後、1人がバスに乗り込み、サラさんとゼリアさん、そしてガイドと警官の4人を誘拐して去って行った。
 約8時間後、誘拐された4人は、別の遊牧民部族によってエジプトの警察に引き渡された。サラさんの話によると、誘拐犯からサラさんたちを受け取った遊牧民は至って温厚で、暴力行為どころか、カーペットを敷いてもてなされ、寒いからとお茶や毛布も出してくれた。挙げ句には「結婚してくれ」とまで言われ、笑いまで出たという。誘拐は、麻薬と武器所持で逮捕されたある放牧民部族のリーダーの息子を開放するよう交渉するために行われたという。
 サラさんとゼリアさんは19日午前2時50分(ブラジリア時間19日21時10分)頃、一行の待つイスラエル国境近くのホテルに到着した。同団体は誘拐事件後も旅行を継続する意向だ。
 シナイ半島は、同団体が訪問しようとしていた聖カタリナ修道院のあるシナイ山やアカバ湾など、観光名所の多いところとして知られている。エジプトにとって観光収入は国を支える大きな財源だが、近年の欧州の経済危機と、2011年1月のエジプト革命によるムバラク大統領失脚などに伴う不安定な情勢により、観光客が激減。そのため、ブラジルやロシア、中国などの新興国に観光旅行を積極的に呼びかけていた。
 シナイ半島ではこうした誘拐事件が相次ぎ、1月以降、中国人25人、アメリカ人2人、韓国人3人が誘拐の被害に遭っている。いずれの事件も、被害者と交換で、逮捕されている友人や親族の釈放を求めるという共通点があるという。

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