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ニッケイ法律相談=その19=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2012年3月21日付け

 質問=知人に、ある刑事事件の証人になってほしいと頼まれました。しかし、その裁判の原告、被告ともに知人なので気まずく、引き受けたくないのですが、どうすればよいでしょうか。
 回答=結論から言うと、この場合はあなたの意志とは関係なく、引き受けなくてはなりません。
 原告、被告、弁護人、判事、裁判官、検事、つまり裁判所、警察署、検察庁、弁護士から証人として指名された場合、社会上、あるいは法律上の義務として辞退することはできません。証人として指名されるということは、事件について何らかのことを知っているとみなされているからです。
 警察からのintimacao(呼び出し)で、1回目で行かなかった場合、再び呼び出されます。2回目の呼び出しでも行かなかった場合は裁判所命令で逮捕されます。
 ちなみに原告、被告は、身を守るために嘘をつくことが許されていますが、証人は許されません。偽証(Perjurio)罪になり、刑務所に行くことになります。
      ◎
 質問=ある物件を借りることになりました。不動産会社(imobiliaria)に、保証人を立て、なおかつ半年分の家賃を保証金として積み立て(deposito)るように言われたのですが、その必要があるのでしょうか。知人からは、保証人、あるいは保証金のいずれかだけでよいと聞いたのですが。
 回答=借家法では、貸主に対し3つの保証方法(garantia)が認められています。保証人、保証金、保険の3つです。貸主はその中から一つしか選ぶことができません。
 保証金として積み立てることができるのは家賃の3カ月分までです。そして、借家人、貸主の両者の名義で銀行のpoupanca(定期預金)に入れる必要があります。どちらか一方が持ち逃げできないよう、必ず2人のサインが必要です。
 そして空け渡すときに、積み立てた金額と利息を合わせ、すべて借家人が受け取ることができます。また、住んでいる間に物件に損傷を与えた場合、そこから賠償金を支払うことになります。
 保険をかける方法もありますが、保険料が高く、大抵は1年経つと期限が切れるのでまた掛け直す必要があり、あまり好まれません。
     ◎
 質問=アパートを借りています。貸主とは知人同士で、保証人は立てず、家賃3カ月分の保証金も支払うことなく貸してくれていましたが、それは契約書に書かれていませんでした。このほど空け渡してくれと言われたのですが、どうすればよいでしょうか。
 回答=借りるときに取り交わされた賃貸契約書に期限があるはずですので、まずそれを確認してください。
 もし期限が切れていなければ問題ありません。
 居住用の賃貸契約書の期限は、法律では最低でも30カ月以上にしておく必要があると決められています。それ以下の期限の契約であれば、あるいは契約書がない場合には5年間そこに住むことができます。
 期限が切れていれば空け渡すしかありません。何の保証もなかった場合には、半年程度で裁判が終わるため、その後空け渡さなければならなくなることも珍しくありません。
 もし裁判になった場合、3つのうち一つでも保証があったら裁判には1、2年、あるいはそれ以上を要します。

質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP CEP 01506-000)まで。質問は日本語でもポ語でも可、ただしメールの場合はポ語のみ。質問内容をできるだけ明確にしてお寄せください。