ニッケイ新聞 2012年3月23日付け
6月20〜22日に開催される「国連持続可能な国際会議(リオ+20)」まで90日を切った。120の国や地域の首脳参加といわれる同会議では、グリーンエコノミーなど、次世代の社会の枠組みが論議される。
1992年にリオで開催された環境会議から20年を経て、新たな枠組み作りを目指すリオ+20。1月には、基本構想などをまとめた〃ゼロ・ドラフト〃と呼ばれる文書677通が、国連加盟国や社会団体、その他の機関に送られている。
ゼロ・ドラフトが挙げているのは、食料安全保障、総合水資源管理、環境未来都市、エネルギー、緑の雇用と社会への同化、海や海洋、自然災害、気候変動、森林と植生(生物多様性)、山、土地の侵食と崩壊、化学物質とごみ、教育、格差、持続可能な消費と開発の15項目。
これらの項目を見るだけでも、単なる環境会議ではなく、経済や社会も含めて地球との共存を目指し、70億人が生き残るための方策を問う会議である事が伺われる。
〃世界水の日〃の22日、国家水資源庁のヴィセンテ・アンドレウ理事が、リオ+20は水問題を解決するための地球規模の政策を立てる好機と発言したが、飲用水として使える淡水が不足してきている問題は、農業用水の確保や地球温暖化、下水道の完備、地下水の工業利用、工業排水の処理など、諸々の要素を考えた上で解決策を見つける事が必要だ。
また、エネルギー問題も、石炭や石油といった化石燃料の枯渇や温室効果ガスの排出を防ぐ太陽光や風力発電の普及、バイオ燃料の開発、原子力発電所の停止や増設、節電を含む省エネなど、広範囲の知恵や声を集めた対策が必要だ。
ゼロ・ドラフトは128ページにわたるが、120ページ分はあれをやる、これをやるといった記述に終わり、環境問題を扱う国連機関の設立などに関する部分は4ページのみと不満の声を上げているのは、92年のリオ会議実現に奔走した、当時の環境局長官のジョゼ・ゴールデンベルグ氏。当時大使だったルーベンス・リクペロ氏も同様の不満を持っている事は14日付エスタード紙が報じている。
1月12日付エスタード紙によれば、ブラジル国連情報センター・ディレクターのジアンカルロ・スマ氏は、リオ+20は環境会議ではなく、地球に住む70億人が環境を損なう事無く生き残るための方策を探る経済会議だと表現。グリーンエコノミー推進のため、より広い視点で地球規模の環境と経済、文化などを扱う国際的な政策立案機関の設立もリオ+20の重要課題の一つだ。
国際的な経済危機が勃発した事は、地球と共存しながら生き残る道を探るのを止める理由にはならないというソマ氏の言葉は、リオ+20に向けた国連関係者の思いの丈を表している。