ニッケイ新聞 2012年3月24日付け
サンフランシスコ川の疎水工事の再見積もりが行われ、総工費は前政権末の見通しを71%上回る82億レアルとなった。23日付エスタード紙が報じている。
国家統合省が3月に出した見積もりによると、サンフランシスコ川の疎水工事の費用は、ジウマ政権発足以来34億レアル上昇し、82億レアルとなった。これは単純計算で71%、ジウマ政権発足直前の10年12月からのインフレ率を差し引いても65%の上昇となる。
2007年に経済活性化政策(PAC)最大の目玉としてはじまったサンフランシスコ川の疎水工事は、北東部の干ばつ対策を目的とし、ペルナンブーコ方面、セアラー方面の2方向に計約600キロメートルのコンクリートの運河を作るものであった。
だが、工事の難航や業者の作業放棄などで、2010年までのはずだった工事完成まで、まだ45カ月以上かかるという。現在工事が中断している、ペルナンブーコ州のサルゲイロ地区とヴェルデジャンテ地区、パライバ州のサンジョゼ・ダス・ピラーニャス地区は契約破棄と再入札が必要になっている。
この他にも、排水設備が豪雨に耐え切れずに起こったと思われるコンクリート土台のひび割れやずれの改修工事を行っている地域もある。
前記3地区の工事契約が破棄されたことで、新たな入札を行う費用は26億レアル以上。国家統合省によると、今月中に規定が発表される4件の入札で20億レアル、6月までに発表される別の2件の入札で6億4500万レアル相当の費用がかかるという。その他の区域でも、契約金額の25%増にならないまでも工費が増額している。
国家統合省はこの工事費の値上がりを、事業計画が詳細部分を詰めないまま、慌ててはじめられてしまったことと、建築ブームや大型の公共工事の増加で工事の費用が上昇したためとしている。実際、10年12月〜12年3月の北東部での工事の費用の上昇率は、全国平均の6・9%を上回る7・2%だった。
だが、国家統括省は、詳細を煮詰めないままの見切り発車という点に関して直接的な批判を避けている。それは、この疎水工事が開始された2007年の国家統合相のシロ・ゴメス氏がフェルナンド・ベゼーラ現国家統合相と同じブラジル社会党(PSB)であるからと見られる。また、ジウマ大統領は開始当時の官房長官で「PACの母」の愛称で呼ばれていた。
疎水工事の現状だが、今年の始めにはセアラー州で豪雨よる240メートルに及ぶ欠損が報告された。それ以前に欠損した900メートルは業者負担で修復されることになっており、現在までに150キロメートルの工事が完了している。