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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年3月28日付け

 18日のグローボ局人気番組『ファンタスチコ』が告発したリオの大学病院に群がる不正取引業者を赤裸々に告発したニュース映像には驚いた。業者が入札担当の病院職員に、不正取引を申し込む様は実に堂々としたもので、場数を踏んだその道の〃腕利き〃であると感じた▼200万レアル以上の取引で15〜20%が賄賂としてその職員に戻されるやり口であり、その業者は「ウイスキーとかワインの箱に入れて持っていくよ」と楽しげに説明した。ちょっと見てもお金だと分からないぐらいの量の札束なわけだ。しかも「ドル、ユーロ、どんな通貨でも払うよ。円でも」と豪快に笑い飛ばす様はまさに異様だった▼極めつけは、同番組の記者が正体を明かして業者が所属する本社に確認に行った時、不正取引を申し込んだ本人が「自分は絶対に関与していない」ときっぱり明言した姿だった。この社会でウソをつくことは「普通のこと」なのだと痛感させられた▼公共資金の一部を発注元に還流させる不正取引は政界でも多いと聞く。不正取引で問題なのは、「悪貨は良貨を駆逐する」そのままに真面目な業者が排除され、悪徳業者ばかりがのさばることだ。政界もしかり。不正蓄財する政治家ばかりが選挙で勝つようになれば…▼日本文化が持つ勤勉や真面目さ、商業道徳がひ弱だと思うのは、不正が横行する弱肉強食の社会に対して的確な対抗方法を持たないことだ。そんな社会において、頭角を現せるような日本的な行動規範はないものか▼日系政治家には「まずは泥水を飲んででものし上がり、その上で政界の腐敗した根を絶つ」ような気概を持って欲しい。(深)