ニッケイ新聞 2012年3月31日付け
28日の下院がワールドカップ法案を承認したが、スタジアムでの酒類販売は各州の判断に委ねるとの方針に、国際サッカー連盟(FIFA)側が苛立ちを隠せないでいる。30日付エスタード紙が報じている。
14年のW杯と13年のコンフェデ杯での酒類の販売はルーラ政権時代に約束されていたが、スタジアムでの酒の扱いは各州で法律が違い、サンパウロ州やリオ州、リオ・グランデ・ド・スル州、ペルナンブーコ州、セアラー州はスタジアムでの飲酒を禁じている。
FIFAの役員たちは29日、下院が承認したW杯法案に不満を示し、州が酒類の販売を認めなければ、そのスタジアムでの重要な試合の開催剥奪も辞さないとし、ワールドカップ開催権の剥奪さえほのめかした。「ブラジルはFIFAがW杯を取り上げるのを望んでいるかのようにさえ見える」とアルゼンチンのフリオ・グロンドーナFIFA副会長は言う。
ブラジル・サッカー連盟(CBF)のジョゼ・マリア・マリン会長は、前記5州に説得を試みようとしている。
また、政府はFIFAに電話で連絡を取り、酒類の販売は法案で認められており、FIFA側の要請には応じたと説明した。だが、FIFA幹部は納得せず、役員になったばかりのマルコ・ポロ・デル・ネロ氏は「解決させなければならない問題が一つ増えた」と吐露。南米サッカー連盟会長でFIFA重鎮の一人でもあるニコラス・レオス氏も「予断を許さない状況だ」と語っている。
FIFA自体は公式にこの問題で新たな議論を持ちかけてはいない。だが、一部のマスコミには「最初の段階としては満足しているが、まだ先に問題が残っている」と語っている。