ベルチオーガ=建設計画で森林に被害=66万平米を破壊の恐れ=原生林の消失面積は最大
ニッケイ新聞 2012年4月3日付け
サントス海岸地域のベルチオーガ市に建設申請中の集合住宅地が大きな森林破壊を招くことが予想され、懸念を呼んでいる。1日付エスタード紙が報じている。
「ノヴァ・リヴィエラ・デ・サンロウレンソ」と呼ばれる集合住宅地の建設が噂されているブリキ・コスタ・ナチーヴァという地域は、甘味料の「ドッセ・メノール」や粉ジュースの「スフレッシュ」などで知られる食品会社ブラスファンタの所有地で、1979年に建設された「リヴィエラ・デ・サンロウレンソ」からわずか数キロのところにある。
そこに350万平米のコンドミニアムを作り、家や企業ビル、ホテルやショッピング・センターなどを建設した場合、常時居住するのは2万5千人だが、観光シーズンの居住者数は最大5万6千人に膨れ上がり、同市の人口は2010年の4万7千600人から一気に倍以上になるという。
また、これらの計画が着々と進んだ場合に伐採される森林面積は、66万平米に及ぶという。国の環境保護法ではこの地域の森林開発は認められていないが、州の法律では最低70%の原生林を残せば都市化してもよいことになっており、ブラスファンタ社も80%の森林保護を約束して申請を行っている。また、ベルチオーガ市の条例でも当該地域の開発は違法にはならず、15階建てまでであれば建設は許可されている。
だが不安材料は少なくない。大西洋岸森林地帯の保護を訴えるブラジルの非政府団体〃SOSマタ・アトランチカ〃が国立宇宙調査研究院(INPE)と共同で行った調査によれば、ベルチオーガは2008〜10年の2年間で76万平米の森林を伐採し、同地域で最も森林伐採が進んでいることが判明した。
ベルチオーガはかつてはサントス市に属し、70年代までは人口4千人ほどの〃緑の楽園〃と見なされていたが、79年のリヴィエラ・デ・サンロウレンソや1982年からの相次ぐ高速道路の建設で都会化が進み、91年に市として独立した後は1万5千人だった人口が3倍以上に。リヴィエラ・デ・サンロウレンソには1万人が居住し、リゾート客も来る週末は3万人の人で賑わう。
環境専門家のカルロス・ボクヒー氏は「新しい集合住宅地は自然を保存すると言っているが、生物の多様性や水、大気に与える影響は計り知れない」と語り、市条例も「海岸地域の市街化を前提にしても、人口増加などが海を刺激し地球温暖化にもつながりかねないことは考慮していない」として批判した。
一方、ベルチオーガ市は市条例を改正し、30階までの建物に環境許可を与えることなどを検討しはじめている。