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無脳症の中絶が合法化=生存権より〃妊婦への負担〃=宗教団体は法廷外で抗議

ニッケイ新聞 2012年4月13日付け

 2004年以来、審議が重ねられてきた無脳症の胎児の中絶問題が、11、12日の連邦最高裁判所(STF)審議で、賛成多数で可決される見通しだ。11〜12日付伯字紙が伝えている。
 無脳症とは遺伝子や外的な要因により脳や頭蓋骨がほとんどない状態で生まれる病気で、そのほとんどが妊娠中に死亡、仮に生まれても数時間〜数日の命で、数カ月生きるケースはきわめて稀とされている。症例の発見は3〜4週目の胎児で可能とされている。
 無脳症児の中絶に関する論議は、04年2月、ある女性容疑者が、裁判前に、無脳症児妊娠を理由とした人身保護令を要請したことにはじまる。この女性は人身保護令適用の可否を審議中に出産したが、子供は7分しか生存しなかった。これを受け、全国健康労働者連盟(CNTS)が中絶合法化を訴え、7月にはSTFで全国的に合法との暫定令が出たが、暫定令は10月に棄却された。
 今日の刑法では、レイプによるものや妊婦の体に危害が及ぶ場合の妊娠で妊娠12週目以内、医師や精神科医の鑑定で保障された場合にのみ合法とされるが、鑑定書なしでも合法とするよう刑法改定の動きがあり、そこに無脳症のケースも盛り込まれる予定だ。
 この問題に関する世論は二分されている。中絶賛成派の意見としては、生まれても長時間生存する見込みがないことの他に、妊婦にかかる肉体的、精神的負担を上げる声が多い。妊婦が無脳症の胎児を妊娠した場合、高血圧疾患や静脈血栓疾患を招く恐れがある。
 一方、中絶反対派の意見としては「たとえ短時間であっても生存権は認められるべきだ」というものが多い。また、「このままでは、直にダウン症の胎児の中絶まで容認されることになってしまう」と語る「ブラジル反中絶運動の会」のレニーゼ・ガルシア会長のように、中絶の容認対象が将来的にあらゆる障害を持つ胎児へとエスカレートしていくことを懸念する声もある。
 STFでの審議は11日からはじまり、11日の時点で11人の判事のうち5人が賛成票、1人が反対票を投じた。12日の審議は、カルロス・アイレス・ブリット判事からはじまり、かねてから公言していた通りに賛成票を投じたことから、合法化が可決される見通しだ。この裁判中、STFの外では中絶反対の抗議活動を行い、祈りを捧げる姿が見られた。
 なお、ラ米諸国で無脳症の中絶を合法化している国はまだ少なく、ギアナとフランス領ギニアのみであった。

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