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第6回米州首脳会議が閉幕=共同宣言は採択できず=キューバの参加が争点に=亜国の主張巡っても対立

ニッケイ新聞 2012年4月17日付け

 コロンビアのカルタヘナで開催された第6回米州首脳会議が15日に閉幕したが、今回の会議では、キューバの参加を巡る意見の対立などが原因で、共同声明が採択されなかったと16日付伯字紙が報じた。

 1994年に定例化された米州首脳会議は、民主主義と自由貿易の原則に基づき、北、中、南米と西インド諸島、約30カ国の首脳が参加する国際サミットで、14、15の両日開催された。
 今回の会議の焦点は、キューバの参加と麻薬、アルゼンチンと英国との間で起きたマルビナス戦争の扱いなどが争点とされていた。参加国間の意見の隔たりがとりわけ大きかったのはキューバの参加で、反対派の米国と賛成派の反米左派との溝が埋まらず、共同声明も採択できなかった。
 米国がキューバの参加に反対するのは、キューバは今だに共産党の一党独裁体制が続いており、民主主義国家に移行したとは認めがたいためで、会議終了後の記者会見でも、コロンビアのサントス大統領が「次回会議にはキューバが参加できるよう望む」と発言したのに対し、オバマ米大統領は「自由なキューバの参加なら大歓迎」と発言。キューバが次回会議までに体制変換を遂げ、民主主義国家と認められる状態に達する事が不可欠との考えを強調した。
 今回の会議は、米国の反対でキューバが参加できなかった事などを不服とするエクアドルのコレア大統領やニカラグアのオルテガ大統領らが欠席、ベネズエラのチャベス大統領はがん治療のために欠席した。
 ジウマ大統領は14日に、オバマ、サントス両大統領とのパネルディスカッションで、「米州諸国は対等の立場であるべき」と主張。ジウマ大統領は、米国訪問中の9日にもたれた伯米首脳会談でも、「キューバは体制移行期」で「キューバ不参加の首脳会議は今回が最後となるべき」と発言していた。
 今会議では親米派のメキシコやコロンビアも次回会議へのキューバの参加を擁護する発言をしており、コロンビア国内では、キューバの参加を認めようとしない米国への批判の声も高まった。
 今回の首脳会議では、グアテマラなどが求める麻薬の合法化も争点の一つだったが、オバマ大統領は、この件でも譲歩する姿勢を見せなかった。
 また、マルビナス諸島は自国領土と主張するアルゼンチンは、同戦争から30年の今年、同諸島への英国の権利を制限する事を盛り込んだ声明をと願っていたが、この件も米国とカナダが反対して実現しなかった。
 2009年の会議では共同声明は採択したものの、キューバ不参加を不満とする一部諸国が署名を拒むという状況だったが、今回は声明の採択さえ出来ず、米国の求心力低下などが目に付いた。